唾液雨

多くの人は下層に住む

眼鏡をかけて空を見ては

穏やかに感じて眠りに戻る

そして豪雨に襲われ

寝たやつは全員死んだ


あれは唾液の雨

お前らの体を貫く無数の槍

それで地面舐めたら

川はピンク色に染まった

唾液の川の完成だ


それにストローを差し込み

たまに昇る頭蓋骨を噛んで

さらに優雅に過ごすは

愚者の妄想

されどそれほど残酷だろ?


こんな日常はもううんざりだ

だったらどうする

あいつらの糞でも食べて

この死体で毒死させたらいい

池は血で染まるだろう


誰しもあの空に飛び立ちたいと夢を見て

無知だから高いとこから飛び降りた

筋肉つけてとにかくよじ登ったり

賢くなって諦めるやつも多い

夢なんてものはすぐに消えただろう

愛したものは嫌いになるばかりさ

そうやって嫌悪に包まれた世界だから

また雨に身を溶かすのでしょうね


あいつらは鼻が悪い

あるいは味覚が狂ってんだろう

地獄の豪雨の味は致死だったし、空気の匂いは最低だったろ

感覚失ってでも夢に夢見るくらいなら

命失ってでも下剋上叩き込んでやろうぜ


ここは下層で僅かに光が差すだけだけど

悪いとこじゃ無いぜ

病気に苦しみ、飢餓に喘いでいるけど

身を削る税金も、加齢臭漂うが

あんな雨が降る空なんて汚いに決まってんだから

あそこに行ったらもう夢は見れねぇぞ

絵なんて描けなくなるぞ

だったらここは夢の国

ある種の天国だろう


それでもまだ憧れるなら

誇りある血で浄化した下水を

奴らに飲ましてやろう

すれば雨に傘もさせるんだろうね

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