はてさて何を書いたものやら
sir.ルンバ
何を書こうかというだけの雑文
さて、何を書こうかとこの数分というものじっと悩んでいる。いやいや、書くことがないわけではない。どう書こうかとんと目処がつかないだけである。いや、書くだけであるならば少しも問題はない。いくらベタになろうともさらりと書いてさらりと終えてしまえばいいのだ。それが全く腑に落ちないからこうして悩んでいるのである。これというのは綱渡りしながらへそで湯を沸かすというくらいには難しい。すこし盛った。たぶんにしてこれは夕飯に魚を食うか肉を食うかくらいの大難問なのである。しかしもかし、こうしてダラダラと書いている間にも時間は過ぎ去り、頭の中では文字と文字をただ組み合わせたばかりの乱雑なブロックタワーがひたすらに出来上がっていく。どうしたものか。こうも決まらないのならば、この話のあらすじでもええいと一息に言ってしまおうか。忍耐のない吾輩のことであるからして、それが一番いいような気がしてきた。下手に小洒落た台詞だとか言い回しだとかを考えているからいかんのである。さっぱり小気味よく言ってしまえばよいのだ。爽快にして明快なことであるが、なぜこんな事に早く気づかなかったのだろうか。さあ、疾風怒濤、立て板に水、私のイマジネーションをここに展開させねば。
いま吾輩がこの画面の前でううんと力んだのは読者諸君には伝わらないであろう。いわんやなんぞ意味の分からないコマンドウィンドウが出てきたのもや。ええい、やたらめったらと最近のワープロというのはAIだの自動記述だのと鬱陶しくしてきおってからに。私は脳内にある思考の文字列をここに具現化せしめようとしただけである。それをこの機械がやめろやめろと邪魔してくるのである。読者の皆々様におかれてはさっぱりわからないのであろうが、我輩にはそれがわかるのである。そう、こうまでして物語の内容に一切触れられていないのは、断じてこれは吾輩のせいとはけして言えまい。あくまでこの文明の利器がいかんのであるということを読者諸君は忘れてはならない。本音を言うとなんならもはやなにかし重要なことに触れまいと意地になってきたのであるが、それもこれもこの意味の分からない機能を搭載しおったソフトウェアのせいである。まったく、ワードプロセッサーとしてベストにインポータントなのはただタイピングに貢献することだというのに、このソフトウェアを作ったデベロッパーというのはなにをシンキングしているというのだ。これならば二〇年前のワードプロセッサーを使ったほうがウン百倍マシというものである。さらにと言えば、ワードプロセッサーなんぞより四百字詰めの原稿用紙と万年筆というもののほうがよっぽど良いのである。その差異は吾輩の座る地上四階のマンションのソファからそこらへんの電波塔のてっぺんにもおよび、そのことは人類が赤ちゃん歩きをするより前からずっと決まっていたことなのである。
結論じみたものに行き着いたことであるが、今日はこのくらいにして、ここに筆を置こうと思う。休めるのは筆ではなく指とキーボードの叩かれるキーであるがそれに触れるのは無粋というものであるのであまり触れずに留める。物語が始まるのは次回である。楽しみにしておられるがよい。
p.s.楽しみにしておきなさいと言ったってそれは単純に次回があるということではない。吾輩はここで次回があればと言う可能性の話をしているのである。吾輩にもいろいろとできることとできないことがある。できないと言ったらそれはできないのである。なにも次回を作りたくないというわけではない。どちらかと言えば吾輩は是非ともと言って生えてもいない尻尾をふりながら作りたいのであるが、こうも非文を量産していることからもわかるように次回を作るだけの文才の源泉から灌漑する分け前がないわけである。しかも次回があるならば日本語を非母語とする人間が読むにはこう優しくもない文章をまたも書き連ねることになる。そうなった場合には、読者諸君におかれましては読みづらさ等々平にご容赦願いたいものである。
はてさて何を書いたものやら sir.ルンバ @suwa072306
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。はてさて何を書いたものやらの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます