第5話

「みんな、聞いてくれ!オレはゴンスケを殺……」


「やめて!!」

突然の叫び声によって、オレの言葉は遮られた。


叫んだのは他でもない、マリーだった。


「お願いだから、ゴンスケを殺さないであげて!彼はただお腹が減ってるだけなの!それに……私たちだってゴンスケと同じようなものよ!私たちの事を好きになってくれる人が増えれば、きっと彼も分かってくれるわ!」


マリー……お前……!


「……分かった。ゴンスケを殺さずに済む方法を考えよう」


こうして、オレ達の旅はまだ続く。


ゴンスケを殺してしまえば任務は達成されるが、国王に処刑されるだろう。


かといって、このまま放置しておけばゴンスケは人肉を食らい続ける。


つまり、ゴンスケをコントロールする術を見つける必要があるのだ。


オレ達は考えた末、ある結論に達した。




オレ達は今、森の中にいる。この森の奥に、ゴンスケの食料となる動物がいるという情報を入手したためだ。


早速オレ達は獲物を探し始めた。

しばらく歩くと、目の前に鹿が現れた。


すかさずゴンスケが突進するが、ギリギリのところで避けられてしまった。


その後、何度か挑戦したが、ことごとく失敗に終わる。


くそっ、どうしたら……ん? ふと見ると、近くの茂みから何かが飛び出してきた。


よく見てみると、それは兎だった。


しかも、運が良い事にメスの個体だ。


オレはすぐさま駆け寄り、捕まえた。


そして、ゴンスケの前に差し出し「お前の餌だぞ…頼むから人間を食べるのは止めてくれ…」と懇願した。


ゴンスケは最初、嫌がる素振りを見せたが、オレの熱意が伝わったのか、渋々といった様子で食べてくれた。


これで当面は大丈夫そうだ。

オレ達はゴンスケをつれて街に戻った。


街に戻ると、ゴンスケはすぐ食糧を求めに行った。


どうやら、今度は果物を食べたいらしい。もう、人肉は食べるなよ…と心の中で祈った。



ゴンスケは果物売りの露店に駆け寄ると、果物を店主ごと美味しそうに貪り食った。



マリーは絶叫しショックで昏倒、オレはただ呆然とその様子を眺めることしか出来なかった…。

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