第45話 真紅の双璧

 真紅の双璧



 ー #紅視点 #見知らぬ天井 ー



 「・・・・ここは?」



 確かジエンドと戦っていたはず、だが記憶がない。



 天井の色からして虫かごではないのだがな。



 埒が明かないな、上半身を起こしぃ!!!!



 「くっ!!何なのだ!!!!」



 俺は天井に頭をぶつけた、しばらくうずくまっていたが

身体を小さくして様子をうかがう。



 プラスチックでできた家?

脱出不可能なように有刺鉄線のフェンスこそあれど、

しかし外を見れば俺の部屋だな・・・・・・

何故だ?



 「あっ先輩目を覚ましました?」



 声?まだ思考が回らないが口調からして・・・・



 「ジエンドか、俺の部屋ということは俺は勝ったのか?」



 「やっぱり覚えてないか。


 先輩は気を失ったんですよ、バトルのログデータ見ます?」



 ・・・・・どうやら俺は負けたらしい、

いやそれはおかしいのだ!!!!!!



 「待て!勝負に負けたらジエンドは転校すると!!!!


 なればこそ脳のリミッターを完全開放したのだぞ!!!!」



 「はぁー、私は ” 好きにさせてもらうから ” って言った、

だから好きにする。


 

 まだこの学園にいる価値があるってこと」



 「・・・・・・」



 「?


 先輩泣いてます?」



 「ずずぅ、何のことだ?」



 ちょっと鼻水の季節なのだ。




 ☆☆☆




 ー #ジエンド視点 ー



 いや絶対泣いてたよね?


 まぁいいか。




 紅先輩と共に例のバトルを見る、

なんかさ映画館デートな気分。



 「これは・・・・・本当に俺なのか?


 意識が途切れた辺りから挙動が鋭すぎる」




 「破壊したはずの背中の武器を陽動にして

徒手空拳を叩きこもうとしている。


 あとここ、置きビームしてる、私の機体の腰をやられた」



 「ジエンドに攻撃当てたとか「それは紅ちゃんが

私達を越えた証よ?」



 紅・ジエンド 「・・・・・・・・」うわぁ


  

 なんかベットの方から声がしたんだけど。


 

 ベットの足元から、もぞもぞとメイド服の・・・・

裁縫部のメイド先輩 (自称蒼転寺ラン先輩) が現れたし。




 「敢えて命名しましょうか!!

紅の双璧くれないのそうへきシステム改め、

 ” 決戦機能 深紅の双璧しんくのそうへき ”


 ゾーンやランナーズハイのその先、五感強化とでも言えばいいかしら」



 「しんくの・・・・そうへき・・・・

おお!!!なんかカッコいいぞ!!!!!!」



 「ええと、しんくってどっちなんですか?深い紅?真実の方?」



 「そんなの決まっている!!!

神と書いて神紅しんくに決まっておろう!!!!!」腕組みドヤァ



 ラン・ジエンド 「自意識過剰!!!!!!」





 ほんとこの先輩はすぐ調子に乗る。





 「深紅も真紅も意味合いは同じよ。


 濃い赤色。



 でも本質はそこじゃない。



 この覚醒モードは元マスター、トキソウ・リーヴェに対抗しうる禁忌。



 当然脳への負担が凄いから ” 禁術 ” 指定させてもらうけどね♪」




 ふーん、何でメイド先輩は ” そのことを知っているのかな? ”




 「いやリーヴェを倒すことができ「貴女もリエちゃんも自分を大切にして?


 私を含めて蒼転寺ラン程脳が丈夫に出来ている訳じゃないの」




 またメイド先輩が会話に割り込んでる。




 「常に脳のリミッター解除を目指して ” 創られた ” のが

蒼転寺ラン。



 試験管ベビーと言えど何万の赤ん坊が犠牲になったわ。



 不謹慎なことを言えば ” リセマラ ” ” 厳選 ” 


 

 まるでゲームのキャラクタークリエイト画面のように

トライアンドエラーを繰り返し、

幾万の屍の上で踊っているのが蒼転寺ランを含めた蒼転寺家。



 当然私も含めてね、笑っちゃうでしょ?」




 いや笑えないし。親のエゴってレベルじゃないでしょ。


 大富豪の親ガチャじゃん。




 「脳のリミッターの解放、まさか!!!!!」



 

 あれ?紅先輩も同じことできるんだっけ?



 「当然こんな非人道行為は誰でもできる訳じゃないわ。


 それなりの設備と研究員も。


 でも ” 裏切者 ” がいたとしたら?」




 「・・・・・冗談だよな?ランよ」




 先輩が震えだした、ごめん、私にも何が言いたいか分かってきた。




 


 「特にコネのないリエちゃんが何故紅の双璧システムなんて使えたのかしら?


 なぜ蒼転寺遺伝子に適合できたのかしら?



 クリエ・リエ改め蒼転寺リエ。



 彼女こそ裏切者が創った蒼転寺ランの劣化コピー。



 遺伝子こそ違えど、妹のような存在よ。



 まぁせいぜい小銭稼ぎの為に作ったんでしょうけどね。

劣化とはいえ蒼転寺遺伝子に適合できたわけだし」




 「・・・・・・」




 紅先輩は黙り込んでるというか

金持ちの道楽で創られた存在って知ったら無理もないか。


 

 しかも自分の上位種がいるって知ったら私でも凹む。




 「そ、そのことは・・・・リーヴェは・・・・?」




 絞りだしたかのような声の先輩、もう自称神を語れる元気もなさそう。




 「さぁ?これは私の推測だから。


 流石に蒼転寺ランが生まれる前から裏切者が暗躍してたら

宇宙ロケットも不具合が出て当然ね♪」



 なんだっけ?紅先輩の前世の話でちらっと聞いた気がする。




 ☆☆☆



 「まぁ暗い話はお終いにして深紅の双璧の解説をば・・・・・・


 紅ちゃんは ” 変態 ” したのよ!!!!!!!」指ビシィ!!



 「なっ!!!!!いつ変態になったのだ!!!!!」




 「あー先輩、変態って裁縫部顧問みたいなのじゃなくて

サナギが蝶になる的な変化ってこと言いたいんじゃない?」




 前言撤回、野良洗剤は変態だと思うよ先輩。




 「脳のリミッターを解放した先の五感強化、

特に紅ちゃんは鼻、 ” 嗅覚 ” が敏感になったの。



 つまり!!ジエンドちゃんの洗剤の香りとか体臭から行動を読み取った」




 「ちょっと待て!!!!!



 必殺技ってもっとこうさぁ!!!!!!



 体が赤色に光ってパワーアップとか     「いいえ」


 相手を洗脳させる特殊な目とか       「ないわね」


 刀から水とか炎が出るとか         「違うわ」



 なんだよ!!!!嗅覚がパワーアップって!!!!!


 恥ずかしいはずいわ!!!!




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