第36話 テセウスの舟のパラドックス
ー #謎のメイド視点 ー
さて、遊んでいる場合じゃないわね、まずはリエ様の手術が最善。
「いつまで座り込んでいるのですか?元マスター。
当機はリエ様を現マスターと認めてました。
手術を致しますので、しばらく皆様方にはご退席願います。
その、血が出ますので」
「り、リエは助かるのか!!!!」おどおど
「ええ紅様、無論ヤトルフェ様も助けますよ」にっこり
まるで小動物のようですね、紅様。
さて、正直元マスターは邪魔ですが手術はチームプレイ。
昔の医療ドラマで ” チームは掛け算 ” と称されたように
当機だけでは患者の生存は絶望的。
ですが当機は理性のある生命体ですので
誰かと物を共有したり、譲歩したりできるのです。
敵認定している元マスターとも
こうして共通の目的の為に手を取り合うことも可能。
☆☆☆
ー #10分後 ー
「あら?まだいたんですか?手術は成功しましたよ?」
紅様だけがお守りらしきものを握り締めてお座りになられてますね。
「いや早すぎるだろ!!!!脳の血管切れてるんだぞ!!!」
「CTスキャンをしたところ既に回復していました。
脳に寄生したヤトルフェ様が努力したのでしょうね」
「・・・・・ふぅ。そうか礼を言うぞ、ところで名前は?」
「便宜上当機のことは ” 蒼転寺ラン ” と呼んでいただけると
助かります。
全くの偽物ではありますが」
「ランが増えたのか?」
「生物学的に言えば元マスター、
いえトキソウ・リーヴェは蒼転寺ランの遺伝子を持っていません。
例えばカメレオンの遺伝子を取り込んでステルス性能を獲得し、
人の遺伝子を取り込み体温の調整を可能とし
感知されなくなっています。
髪の毛は植物の遺伝子によって光合成が可能でエサを必要としません。
様々な遺伝子を取り込んだ結果、蒼転寺ランと呼べる要素は消えたの。
テセウスのパラドックスは過程を大事にしたものだけど、
結果はご覧の有様。
つまり人間を越えた化け物が彼女。
対して当機は蒼転寺ランの遺伝子を培養し濃縮還元した模造品。
ただ」
「ただ?」
「蒼転寺ランの遺伝子を引き継いだ当機こそが正当後継者である」腕クロス
「ドリト〇イ構文お前も使うのかよ!!!!!!!
あっ、リエの恩人だったな。す、すいませんでしたぁ」ぺこり
「んー、紅様の貴重な丁寧語は置いておいて
” 私 ” も口調崩していいかしら?」指頬当て―
「むしろそちらの方が助かる」
「保健室で話しましょうか?あっ今は入らないほうがイイかな~」
「別に血ぐらいで驚いたりはし・・・・・ラン!!!!!!」扉ガラァ
紅様が見た景色、それは当機が元マスターを
犯行現場。
彼女の血は花火のような芸術品と化しています。
「できれば掃除手伝ってくれるかな?ラーメン驕るから、ね?」
「今回だけだぞ!!!次は実家帰るからな!!!」プンスカ
ラーメンどころかステーキでも学生はこんな仕事引き受けてはいけませんよ。
まず消すべきはダイイングメッセージである ” スミレ ” の文字から。
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