第35話 さようなら、元ご主人様



 ー #スス伯爵視点 ー


 

 ” 勝者 トキソウ・リーヴェ ” のアナウンスでバトルが終わって

バリア装置が解除されましたが・・・・・まさか・・・・・ね?



 「あー、リーヴェ先生勝利おめでとうございます。


 ところでヤトルフェさんのロボットは何処へ?」



 「消滅したわよ、チリ1つ残さずにね♪」



 「・・・・・・・・」



 その場にいた誰もが言葉を詰まらせました。


 いや、こんなの許されるわけがない。



 「まさか玩具に核兵器を積んだんですか!!!!!!


 そんなの商品どころか!!!!いや悪い大人が戦争に利用しますよ!!!」



 私の本音にきょとんとした反応を見せる先生。



 「え?敵を先に滅ぼせば仕返しなんて来ないわよ?」



 「ダメですね。話が通じません。けれどこの機体は封印してください。


 いえ、貴女向けに言うならば 

” お子様への安全基準に満たない商品の開発は、おやめ下さい ”」



 「・・・・それもそうね♪核兵器は危ないし」




 ふぅ、まずは一安心ひとあんしんですね。



 

 ☆☆☆



 ー #ジエンド視点 ー



 「かはぁっ」



 「お、おいリエ!!!血が!!!いや目や鼻からも!!!!」



 

 うわぁ、機械部副部長とペルソナの顔が酷いことになってる、

というかゲームに負けただけで血なんて吐くのかな?



 「よく見なさいジエンドちゃん、

あれがあなたが求めていた紅の双璧システムの末路。



 脳を疑似的な酸欠にして快楽物質が大量分泌させ、

ランナーズハイやゾーンと呼ばれる状態へ導く。



 裏を返せば脳で処理できないほどの情報を送り込めば

血管がちぎれ大惨事を招く。



 敗北するかもしれないという可能性に脳がびっくりしちゃったのよ」




 「なにを冷静に。保健室の先生ってどこにいたっけ伯爵?」



 「そんなものは居ませんよ。

 

 私達の学年が入学する前、

つまり紅とリーヴェ先生が1年前に大人共を排除したんです」



 首振ってる場合じゃないと思うよ伯爵。



 「安心して頂戴。これでも医師免許は持ってるから。


 禁忌肢問題落ちは何回かしたけど最終的に受かったわ」




 


 間違ったらどんなに成績よくてもアウトな問題が禁忌肢だっけ?


 いや何回も受ければ合格はするだろうけど制度としておかしくない? 


 私この人の医療受けたくないんだけど。




 「まぁ、最悪 ” 人体錬成 ” で生き返らせればいいかな」




 「こぉの!!!!!!!!!!!!」



 「よせっ!!!ジエンド!!殴ったらコイツと同じレベルだぞ!!」




 「くっ!」




 紅先輩この人に弱みでも握られてるの?



 

 ☆☆☆




 ー #紅視点 ー



 「落ち着けジエンド。


 今はリエを助けるのが優先だ。


 それに俺の知ってる蒼転寺ランならリエを見殺しにはしないはずだ」




 だがヤツはリエをベットに運んだだけで特に何もしていない。


 こうもっとあるだろ、お腹の音を聞く、そう!聴診器的な物を使うとかな。




 「確かに蒼転寺ランなら見殺しにしないわね。


 でも私 ” 蒼転寺ラン ” と名乗った覚えはないわよ?」



 「今更何を言ってるんだ?いやそんなことは今どうでもいいだろう!!!」



 リーヴェは面倒くさそうに立ち上がり、

俺の近くまで歩き立ち止まった。



 「当てが外れたから怒ってる?


 紅ちゃんの頭脳戦に付き合ってあげたけど、

あなたがまず謝るべきはジエンドちゃんよね?」



 「何のことだ?それよりリエを!!!」



 「私が蒼転寺ランと思いこんだあなたは唐突に過去話をした。


 当時の彼女が知らない情報、宇宙に旅立った後のことを」



 「そ、それがどうしたというのだ」



 「ホントはジエンドちゃんと付き合う気がなかったんでしょう?


 周りの同調圧力と蒼転寺ランと戦いたい欲求で私にカマをかけた。



 もし過去のことに私が興味を持てばそこから崩す気だったんでしょうけど

そんな事は読めていた。



 結果として巻き込まれたジエンドちゃんは好きでもない紅ちゃんと

付き合う羽目になった、最悪じゃない」




 「っ!!!!!!」



 返す言葉が見つからないな。



 いや、リエのこともあるが今はジエンドへのフォローが先か。


 ダメだな、俺まで脳がパンクしそうだ。




 「紅先輩・・・・・・そっか。


 私だけが舞い上がってたんだ。


 夢女子製造モードが紅先輩システムなら無理してたってこと?



 ならもういいかな。


 

 正直問題事に巻き込まれる先輩は嫌いだったし」




 「あらあら、紅ちゃん振られちゃったわね」




 「伯爵!!!!リーヴェの暴挙を何故止めない!!!!」




 「それは・・・・・「それは当機が説明しましょう」




 伯爵の言葉を割いて発言したそれはまったくの虚空。


 だが徐々にモヤが取れていく。



 リーヴェと同じ緑髪のメイド服で「生物平等パンチ!!!!!」



 「グ八っ!!!」



 め、メイドがリーヴェの腹を殴った・・・・・だと。




 「元ご主人様は蒼転寺ラン様ではありません。


 かといって遺伝子を濃縮還元された当機も厳密には違います。


 それはそれとして生物平等リンチ!!!!!!」



 「か、顔だけは止めてぇ。今片眼鏡だから」



 殴る蹴るの暴行を繰り返すバイオレンスなメイドをよそに

ガッツポーズするジエンド、気持ちは分からなくはない。



 オブラートに包まず言うなら ” スカッとした ” 

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