第14話 メイド喫茶編完結!! 年休300日の復讐者 その3

 年休300日の復讐者 その3




 ー #夜 #スス伯爵のクラスメート視点 ー


 


 「ごめん、自分語りが長くなった」



 私の過去を話したのは今ここにいる羽の子だけ。


 それは外から来た人ってのもあるんだけど、

この学園の生徒は何かと重い過去を持っているらしく

” 生徒手帳で他人の過去を探るのは禁止 ” と書かれているほどに。



 廊下を人力車で走ろうが頭髪検査もない世紀末な学園なのに

そういうデリケートな部分は触れないような工夫がしてある。



 「なるほど、では余の復讐に付き合えです!!!」



 もう私は働かなくても余生は過ごせるのに。



 「もう私は燃えカスと言っていいくらいに頑張る気がないから。


 学校だってテストの点数がいいから在宅学習が許可されて

寮から出ない週だってあるし」



 まあ分からないところ以外は倍速機能使って時短してるんだけどさ。



 「余とは見えている世界が違うんです。


 学校の屋上で満足なのですか?」



 そういって私をグッと抱きしめて空へ飛び始めた羽の子。


 うわぁ・・・ダイエットしとけばよかった。


 ぐんぐんと登り始めてある地点でピタリと止まった。




 「見えますか?正面が王都。


 そなたのような人間が多くいる伏魔殿」



 この人は名前を呼べないときは ” そなた ” 呼びするのか。


 私が名前教えなかったのが原因だけどさ。



 「家庭環境、世襲階級による差別、労働者に正当な賃金を支払わない企業。


 そういった人々の為に余が立ち上がざるを得ないんです」




 「あー、政治とかよく分かんないし。


 いいじゃん?

私は人生ゲームをクリアしたから他人がどうなろうと関係ないし」


 

 貴族様は崇高な考えをお持ちなようで。


 なんだっけ ノブリス・オブリージュ だっけ?

上に立つ者はその義務を果たさなければならないって考え方。


 それができていないから私は今の世界を見捨てて伯爵側に付いたんだけどね。




 「そなたみたいな親に苦しめられた人間はいっぱいいるです。


 でもその遠因はこんな時代を作った上の世代。


 そいつらを駆逐するのが余の責務です」



 「嘘でしょ?私以外に毒親で苦しんでる子がいるってこと?」



 いやスマホニュースで知ってはいたけどさ。


 まさか貴族様が気にかけているとは思わなかった。



 「この島に来た理由は伯爵ならこの思想を理解してくれそうだと思ったことと、


 ” 無料Wi-Fi ” を百合リスに設置してもらうことです!!!!!」



 「ねえ、完全に後者目当てだよね!!!!!!」



 機械部副部長開発した ” 高圧縮・高装填技術 ” によって

水・電気・インターネット回線は島国にしては安定供給されている。


 ただのちっぽけな百合の鳥島が諸外国に攻撃されず中立国を保てるのは

伯爵がお金に物を言わせて優秀な技術者を取り込んだから。


 特に機械部副部長は500年先の技術を持っていると噂されるほどに。


 絶対不可侵領域ともいえる百合の鳥島を攻撃することより

利益を享受したほうがマシだからさ。



 「余は人々に無料Wi-Fiを届け民衆に世界がいかに汚れているかを問うです。


 全ての人類には情報が共有されるべきなのです!!!!」



 「あー、多分大多数は政治じゃなくてスマホゲームすると思うんだ」引き気味




 思想強いのも考え物っていうか・・・・。


 妥協点探すのが大変な子だなぁ。



 「分かった。私は困ってる学生を助ける為だけにこのチカラを使う。

で、君は偽善者を叩き潰す。これでいい?」



 「上出来です!!!!!


 これから毎日よろしくです!!!!!」



 「あー、週休3日は欲しいかな」



 そんな毎日は無理。



 ☆☆☆



 ー #校庭 #ニャラケル視点 ー



 黒雪氏ともう1人・・・僕が連れ出した秘蔵っ子がいますね。



 「という訳で余の百合の鳥島学園の編入と

百合リス大使館の設置を要求するです!!!!!」



 なるほど、秘蔵っ子に説得されたという訳ですか。


 ススパパはトイレに籠ってますし最高責任者は僕ということになりますね。



 「ふむ、黒雪さんの編入は認めますがスパイの可能性もあります。


 しばらくは学園を自由に歩けないと思ってください」




 秘蔵っ子が僕に説得をしてきました。


 反骨精神が強い生徒とは口論のし甲斐がありますね。




 「百合リスの食料品の関税を下げることができれば実績が生まれて

学園のアクセス権限が増えるのがルールのはずですよね?


 あと核ミサのスイッチは私の方で説得するし」



 僕の目に狂いはありませんでした。


 あの時救ってよかった。





 「にゃひひひひ。分かりました、帰宅部にしておくにはもったいないですから

正式に ” 散歩部 ” を設立しましょう。


 部長は貴女で、副部長は黒雪さんでいいですか?」



 「つまり余はこの学園の生徒として学んでもいいんですか?」



 「そうなりますね。黒雪さんが百合リスの利益を優先することは

分かっていますからお互いによい落としどころを見つけましょう。


 外交とはそういうものですから」



 グッと握手を交わす僕と黒雪さん。


 正直僕達の接待で手ごたえがなかった時点で失敗と判断していました。


 わざわざ要人を1日自由にできる権利を手にして

適当な条約で終わらせるのは分が悪い。


 ですが留学という形で友好関係を結べるのなら話は別ですね。


 黒雪さんが滞在している限り

諸外国も僕達に不利益を与えることはしないはず、

何故なら百合リスにもケンカを売ることになりますから。



 メイド喫茶から始まった国際問題の終点。


 それが元不登校に救われたという事は僕としても想定外。


 そして黒雪さんに釣られて

登校頻度が増えたならばこれ以上のいいことはありません。


 

 イイ感じのオチが付いたところでこの動画も・・・・・


 

 この世ならざる音がして生放送が台無しになりました。



 「カメラを止めてください!!!!今すぐにです!!!!」



 ススパパか紅かリエさんかはこの際どうでもいいんです!!!


 よりにもよって屋外トイレの窓を開けて下品な音を晒した人がいます。




 

 リエ 「ちょっと!だれ?今のおなら!!!臭いんだけど!!!!」


 紅  「俺じゃないぞ!!!というかヤバい!!!尻が焼ける!!!!」


 スス 「ああ生まれる!!ビックバンが!!!!!なんかやばい!!」





 激辛焼きそばが主食な動画投稿者は新商品が出るたび

こんな苦痛を体感しているのでしょうか。



 トイレでエキサイトしているメイドさんが見られるのは

百合の鳥島学園だけであって欲しい物です。




 ほんと感動路線を破壊するツンデレフラットスリー

敵に回したくはありませんね。にゃひひひひ。


 ー 民度の低い学園祭 メイド喫茶編 完 ー

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