第9話 紅の恋模様その3 シリアスはいったん終わりでござるよ?



 ー #百合の鳥島学園文化祭2日目終了 #学生寮リエの部屋 #夜 

   #地の文担当 紅 ー



 「♪~」



 メイド喫茶の2日目がようやく終わり労働から解放された。


 若干鼻歌交じりで俺とリエとキキョウの夕飯を作る。


 黒のゴスロリと呼ばれる服もいいがやはり ” ドラゴン ” が印刷された

エプロンは肌に合うのだ。


 万が一まんがいち破れても

家庭科用教材を買ってミシン使えばいいだけだしな。



 それに・・・エリーもそろそろ帰宅している頃だろう。


 



 「うわぁ、紅キモイんだけど。なんか尻振りながら料理してるし」


 「リエ殿のせいでござろう」


   

 恋を知らぬ2人には分かるまいて。


 スマホやネットの普及で、すぐ連絡が取れるようにはなった。


 だが思い人からの連絡を待つこの時間は何物にも代えがたいのだ、

今ならユリンチャットで10分以内に返さないと発狂する

メンヘラの諸君の気持ちも理解できる。



 ササっと盛り付けて完成。


 メイド喫茶でも好評だった具材大き目オムライス、

大きい食材の熱が通りやすくなるように

つまようじで穴をあけること、このひと手間で食べ応えが増すのだ。



 「リエー、キキョウー、できたぞー。

・・・・ちゃんと手を洗え!リエ!!!」




 スマホやパソコンのキーボードは相当汚い、

正直トイレに置くだけ洗剤ユリーレットがある分後者の方がマシだ。



 俺は食事マナーとかそういったものには興味はないが、

食事中のスマホとクチャラーだけは注意せざるを得ないのだ。





 「こんなこともあろうかと

” ナノマシン配合滅菌保護フィルム ” 開発したから」


 

 「どれだけスマホ依存なのだ!!!現代っ子め!!!」


 




 本当にリエという生き物はだらしがない、エリーを見習ってほしいものだな。





☆☆☆



 ー #数分後 ー



 チラッ、





 チラッ、




 「紅・・・・・アンタもスマホ依存症じゃないの?」




 「勘違いするな、ちょっと電話を待っていただけだ!!!」



 ご飯の横に置いたスマホをチラチラと見ていたのがリエにバレた。


 ながらスマホではない!!!



 

 ”るるるるるるるる”



 来た!!!!俺は即座に箸を置きスマホを取る!!!


 暗証パスを入力し電話の相手を確認する!!!


 非通知設定!!!!


 俺は通話ボタンを押し・・・・・


  「何を期待してたの?紅先輩」



 「へ?」



 おかしい、スマホとリエの口から ” リエの声 ” が聞こえたぞ?


 しかも俺とエリーとメイド喫茶にいた人物しか知らない

” 紅先輩 ” というやり取り。




 「あんたやっぱお人よしが過ぎるのよ、

このご時世見ず知らずの人間に個人用電話番号渡すなんて。


 出会い系サイトの従業員サクラに引っかかるタイプね」



 「嘘だ!!エリーはほら黒髪だったし身長も!!!!」



 「裁縫部の先生?から認識偏光グラス貸してもらったの。

他人から蒼転寺リエと思わせなくする眼鏡型デヴァイス」




 「じゃあ後輩と思っていたエリーはリエのなりすましだったというのか!」




 「先生の即興カバーストーリーに従っただけ。


 蒼転寺リエとして話しておきたかったことを、

アンタを評価している人がいるってことと、

負け戦を何故し続けるかの理由が聞きたかった」



 「そこまでするか!!!!」



 「お互い素直じゃないからね。

でもまさか紅はああいった大人しめの子が好きだったなんてねぇ。



 案外錬金術部のキョウカさんのことも好きだったりしてwww」




 「もういい・・・・もう結構だ!!!!!」



 声を荒げ洗面台へ俺は移動した。



 俺の恋を踏みにじったリエに復讐をするために。






 ☆☆☆



 ー #数分後 ー



 「待たせたな!紅の双璧!モードメイド喫茶!!!」



 「何してたと思ったら髪の毛にジェル付けてたでござるか」




 あの時の状況再現、オールバックにしたがあいにく服は洗濯機の中だ。


 故にドラゴンエプロンで代用したがな!!!!




 「とうとう自棄ヤケになった?

そんな家庭科のエプロンで蒼転寺リエを・・って何するのよ!!!」




 俺はリエの顔を持ち、目線を矯正した。


 いわゆる顎クイという恋愛テクニックだ。




 そしてスプーンを逆の手で取り、オムライスをすくった。




 「俺が好きなのは蒼転寺リエなどではない。


 エリーであり、クリエ・リエだ。


 もし蒼転寺の遺伝子に支配されているなら俺が解放してやる」



 「ぐっ・・・はむはむ」



 「少女漫画的展開キタコレでござる!!!!!」




 抵抗するリエの頭を撫でながらオムライスをリエの口の中へ。


 時々目の前で寸止めしたり、俺が食べて間接スプーンキスをしたり

ただの食事にバリエーションを付け彼女を飽きさせない。



 やがてお皿が空になり・・・・・・




 「ねぇ、リエは悪い子なのに殴らなかったの?ロボットアニメみたいに」



 「なんだ殴られたかったのか?」



 「そうじゃないんだ・・・・・

かつて世界を滅ぼしたんだよ?」



 「昔の世界の事だろ?恋人を失って失恋したのは同じ。


 世界に八つ当たりするか、新たな恋を見つけるか。


 その2択で俺は後者を選んだ。


 今は頼りないかもしれないが

必ず蒼転寺家の遺伝子などに振り回されない生活を送らせてやる」



 「く・・・・ぐれにゃいいいいいいいいいいいいい」



 「フッ・・・・大人大人言ってたリエがこのザマとはな。


だが俺は皿洗いをせねばならん!!!」




 「それぐらいなら拙者がやるでござるよ?

あとは部屋の掃除と明日の準備もお任せあれ!


 リエ殿を頼んだでござるよ?紅殿。


 いずれ拙者とも結婚させてみせるで候」



 「おい!!!浮気現場見過ごしどころか俺まで結婚に巻き込むな!!!」



 どうやらキキョウは俺とも結婚する気だ。



 強欲というかそうでなくては機械部部長は務まらないという事か。



 ” 拙者はこれにて!!!ドロン!!!! ”と言い残し

自分の部屋に帰っていった。


 普段は俺達の部屋で寝泊まりする癖にこんな時だけ空気を読んだな。





 ー #数時間後 ー





 終始謝罪と甘えたがりな ” 大人 ” を寝かしつけ

俺もまどろみの中へ落ちていった。 



 


 ー 嘘次回予告 ー



 リエ 「メイド喫茶ってここまでするの!!!!!!」


 スス 「やるしかないでしょうに」


 紅  「実家に帰らせてくれええええええええええええええ」






 次回   「強襲!ー ツンデレフラット3 ー (スリー)」



   スス 「私はCカップだから!!!!!!」


  アオイ 「世界一醜い乳並べやな」ドン引き


 ニャラケル「ススパパはパッド補正もありますし

      なんか住宅ローンみたいなチーム名ですね。

      にゃひひひひ」

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