第15話 リーザスの街の異変

翌朝―

ハルトは目を覚ますといつもの違和感を感じた。

ため息を付きながら布団をめくると案の定そこにはルナ……と更にルシアも一緒に潜り込んでいた。

……だが今日は服を着ているから、まぁよしとしよう。


二人の気持ちよさそうな寝顔を見てハルトはほっこりしながら、二人の頭を優しくなでた。


ハルトが起きたことに気づき二人とも目を覚ました。

「んん……ご主人様おはようございます♪へへへ」

ルナは頭をなでられて満足そうだ。


「はっ!すみませんハルト様!従者の私が……」

ルシアは目を覚ましハルトに撫でられてることに気が付き慌てて起きようとした。

「ルシアは従者とかじゃないよ。ルシアだけじゃなくてこの街の皆俺の大切な仲間さ」


それを聞いて安心したルシアも気持ちよさそうな顔をして撫でられていた。


「さて、今日は色々やろうと思ってるんだ。そろそろ支度するぞ」

「はい!」



ホールで食事をとりながら昨夜考えていたことを皆に話した。


「なるほどなぁ。料理のレシピか料理人の確保と酒か。確かに欲しいなぁ」

「昨日のご飯も十分美味しかったよ?肉もあったし?」

ヒナタの言葉に元猫達とルシアは頷いていた。

元猫や魔物にとっては何でそんな話をしているのか不思議らしい。


唯一街で食事と酒を味わったことのあるルナだけは自慢げに腰に手を当てて納得し、皆にこういった。

「皆さん?本当に美味しい食事はこんなものじゃありませんよ?それにお酒!飲むとふわふわして最高に気持ちがいいんです♪」

『おおっ!!』

皆から驚嘆の声が上がった。


とりあえず街に行ったことのあるハルトとルナ、そして店の管理に一度戻りたいとのことなのでロンド、更にルナが離さないのでルシアの4人で再びリーザスの街に向かうことになった。


一同は以前扉を出した場所に向かう。

「んじゃ行ってくるよ。留守の間、セバスは皆のことをよろしくな」

「かしこまりました。ハルト様たちもお気を付けて」


ハルト達は扉を開け、再びリーザスの街がある世界へ渡った。


ルシアの時のように迷い込んでしまう者がいないように、今回はしっかり扉も消して対策。

「んじゃ打ち合わせ通りにね」

「はい」

そういうとルシアはスライムに戻りハルトが背負っているリュックの中に潜り込んだ。

ルシアは身分証が無いし、もし正規の試験をうけたなら鑑定され魔王と知られて大騒ぎ必死だからこうして隠すのが一番だと思ったからだ。決してギルド登録料をケチろうとしているのではない。


こうして街に近づくと何やら変な雰囲気を感じた。

まだかなり離れているが街のある方向から何やら騒がしい音が聞こえる。

「今日は祭りか何かあるのか?」

「いんや。収穫祭はまだまだ先だし、こんな時期に祭りなんてねぇはずだぞ」


嫌な予感がするので4人は街に向かう足を速めた。

街が見える場所まで来ると街からいくつもの黒煙が立ち上ってるのが確認できた。

「こりゃ、何か良くないことが起こってそうだな……」

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