第七十三部

 ケーキがあっという間になくなった後、それぞれ用意したプレゼントを渡すことになった。


 ソルシエルの番になり、三人は少しばかり緊張した面持ちで彼女の前に並んだ。


「まずはキャロル。貴様は勉強が好きだろう。将来はエリカと同じく学者になりたいのか?」


「はい! たくさんお勉強して賢くなって、皆と豊かな暮らしを送ることが夢です!」


「そうか。よき夢だ。貴様にはこの本を贈ろう。かなり厚みのある本だが、読破する頃には今よりも多くの知識が得られていることだろう」


「ありがとうございます、ヴェルマお姉さん! 難しい言葉があったら教えてもらいに行きますね」


「うむ、いつでも来るといい。次はマキナ。貴様は本を読めるようになりたいと言っていたな。貴様にも同じく本を贈ろう。まだ少々難しいかもしれぬが、いずれ読めるようになろう。その時は心行くまで物語の世界を楽しむといい」


「ありがとう、ございます。お勉強頑張るから……読み聞かせ、してください」


「……その役はマリアに任せるとしよう」


「おい、押しつけやがったな!」


「こほん……最後はアイカ。貴様は無邪気で生意気だが、誰よりも寂しがりのようだ。貴様が一人でいるのを我は見たことがない。ゆえに、貴様にはこのぬいぐるみを贈ろう。一人でいても寂しさを感じなくなるまで、そばに置いておくといい」


「わぁ、ありがとう、ヴェルマおば……お姉さん! 今日からこの子と一緒に寝る! ずっと大事にするね!」


 ソルシエルからのプレゼントに、三人はご満悦のようだ。

 それぞれもらったプレゼントを見せ合って、幼気な笑顔を咲かせている。


 さすがはお師匠様、ちゃんと理由があってプレゼントを選んでいたんだな。

 俺のプレゼントはこの娘たちに喜んでもらえるかな。

 正直、あんまり自信はないけど。


 段々と不安が募ってきたところで、いよいよ俺がプレゼントを渡す番になった。

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バーサーカー魔女になった俺が異世界を滅亡させるかもしれない件について @jinno_kanzaki

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