第七十一部

 料理はゲオルグがいつも以上に腕を振るってくれ、俺も盛りつけを手伝った。

 ソルシエルは料理のセンスが壊滅的だったため、部屋の飾りつけを任せた。


 さて、誕生日パーティーの準備は整った。

 あとは主役が学院から帰ってくるのを待つだけだ。


「ふぅ、いい感じじゃないか。ゲオルグさん、こんなにたくさん作ってくれてありがとう」


「いえいえ、お役に立てたようで何よりです」


「お姉様もお疲れ様」


「全く、飾りつけなどしたことがないというのに……こんなものでよいのか?」


「なんか厳かな感じになってるけど……これはこれでありだな」


「きっと素敵な誕生日パーティーになりますよ。さあ、少し休憩するとしましょう。私はお茶を淹れてきます」


 その後、お茶で一息吐いていると、部屋の外から賑やかな声が響いてきた。

 エリカと主役の三姉妹が帰ってきたようだ。


「ただいまー……って、何これ!?」


「おかえり、皆。誕生日パーティーのサプライズだ」


「うわぁ、すごい……これ全部お姉さんたちが用意してくれたんですか?」


「ああ。エリカから話を聞いて、俺たちもお祝いしたいと思ってな。どうだ、喜んでくれたか?」


「はい! パーティーなんて初めてだから、とっても嬉しいです! ねっ、マキナ?」


「うん。パーティー、楽しそう」


 皆子供らしく目をきらきらさせてはしゃいでいる。


 しっかり者の仮面を外して抱きついてくるキャロル、壁の装飾や宙に浮く風船をまじまじと見つめるマキナ、つまみ食いをして怒られるアイカ。

 ちらりと横目で見やると、ソルシエルもまんざらではなさそうに微笑している。


「よし、皆座って。パーティーを始めよう」

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