第七十部

 エリカ、キャロル、マキナ、アイカの四人が学院に行っている間、俺とソルシエルは城下でプレゼントと食材の買い出しをしていた。


 いつもより豪華な食事にするため、両手で抱えるほどの食材を買い込み、ケーキ屋でフルーツたっぷりのホールケーキを注文した。

 あとはプレゼントを選ぶだけだ。


「いざプレゼントを贈るとなると、何にしたらいいかわからないもんだな。小さい娘にプレゼントなんて贈ったことないし。お師匠様はもう決まった?」


「キャロルとマキナには本を、アイカにはぬいぐるみを贈ろうと考えておる。我も気の利いたものは思いつかなかった。まあ、子供にはそれくらいでちょうどよいと思うがな」


「ふーん、そういうもんか。うん、そうだな、どんなプレゼントでも気持ちを込めれば喜んでくれるよな」


 それから本屋とおもちゃ屋を巡り、屋台のアクセサリーや小物などをひたすら物色した。


 だが、どれもぱっとしない。

 なんというか、特別感に欠ける。

 城下で買えるものならいつでも手に入ってしまう。

 どうせなら、誕生日にしか贈れないものがいい。


「マリアよ、日が暮れてしまうぞ。我が決めてやろうか?」


「うーん、もうちょっと待って」


 散々悩んだ結果、俺はやっとベストなプレゼントを思いついた。


「決めた。三人へのプレゼントは俺が魔法で作ることにする」


「ほう? どんなものを作るつもりだ?」


「秘密」

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