第六十九部
夕食後、エリカが部屋を訪ねてきた。
またソルシエルに勉強を教えてもらいに来たのかと思ったが、どうやらそうではないらしい。
「明日はキャロルちゃん、マキナちゃん、アイカちゃんの誕生日なんですって。三人が出会った日を共通の誕生日にするなんて素敵じゃないですか?」
「うん、姉妹愛炸裂だな。じゃあ、何かプレゼントを用意しないと」
「はい。そのことで相談に来たんですけど、三人のために誕生日パーティーをしようと思うんです。この宿屋ではささやかなものになっちゃいますけど……お姉さんたちにも協力してもらいたくて」
「もちろん協力するよ。ねぇ、お姉様?」
「面倒だ。貴様らで勝手にするがいい」
「そんなこと言わずに。誕生日は年に一回のイベントだぜ? お姉様にだって誕生日くらいあるだろ?」
「そんなもの、とうの昔に忘れてしまった」
「じゃあ、今度お姉様の誕生日パーティーもしてあげるからさ。あの娘たちはもう家族同然だ、家族の誕生日はちゃんとお祝いしないとな」
「そうですよ。どんな境遇でも人間が生まれてきたのは奇跡なんです。一人一人の生には必ず何か意味があるって、私は信じています。だからこそ、こうして出会えた皆と大切な日を喜び合いたいんです。お願いします、ヴェルマお姉さん!」
「……ふん、誕生日など興味はないが……その熱意に免じて協力してやろう」
頭の固いソルシエルが案外すんなりと説得に応じ、明日の誕生日パーティー開催が決定した。
俺たちは夜が更けるまでプレゼントや料理の献立を相談し合った。
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