第六十七部

 座する女と跪く男。

 面影はやはりはっきりとしないが、どうやら女は魔女、男はスラム街の亡霊のようだ。


「その右腕……ああ、同じ匂いがします。ここまで複雑に織りなされた魔法はまさしく――ソルシエル、でしょうね」


「…………」


「魔女の顔を覚えていますか?」


「…………」


 魔女の問いに、スラム街の亡霊は無言を貫いた。

 彼女は口角を上げ、冷たい視線を傀儡へと注いだ。


「安心なさい、私は非情ではありません。その腕が使い物にならなくなっても切り捨てることはしません。さあ、次の仕事を与えましょう」

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