<第4ラウンド> ベイトⅠ

【お前らビギナーの周りにはオナジくビギナー多数のギルドを設置した。まずはそやつらと戦って鍛錬をつんでもらう。】

シューターが一人だけという衝撃的事実に少し(いや、かなり)怖気づきながらも、まあ生き抜くしかないため、俺らは他のビギナーとの戦いに挑むこととなった。少し慣れてきたものの、恥ずかしいことに段々と家族や地元の存在が恋しくなってきた。益々勝つ気がわいてくる。


相手を探しまわる必要はなかった。ゲームマスターの言う通り、ビギナーの配置はしっかりとしてくれていたのだろう。相手は俺らと同じく3人で組まれたギルドの奴らだった。ライフは3、仲間全員のライフが0になったら相手の勝利となる。


さぁ、バトル開始だ。


ーこれは俺らが戦いに挑もうと考えたときに一緒に作戦を考えたときである。

「ちっちと俺はチャーターを敵に撃つのみ。問題はドグだ。」

「ドグには自ら敵に突っ込んでいって欲しい。そして相手の目がドグに向かう隙に俺らチャージャーが相手を撃つ。」

「それって…」

「囮、ってことだ。」

まぁそうなるとは思っていた、頭の隅で。でも実際言われて実践するとなるとかなり勇気が要ることだとわかった。

「できるだけ俺らもドグが撃たれる前に相手を撃てるように頑張る。俺の能力は《ライフ回復》だから、ドグは怖気づかずに思いきり突っ込んでいって欲しい。」

ライフ回復能力とは、味方内一人にのみ適用され、ライフが1になった時に一つ増やせる能力だ。ただそれは一度しか使えない。

「わかった。俺は透視能力だからちっちとツキやんに相手の位置を伝えるよ。」

「よろしく。」

「頼む。」

よっしゃーそうと決まれば…

『グッドゲームを!!!』


ゲーム開始のアナウンスとともに俺は真っ先に敵に見えるように動き回る。動きを止めればチャージャーに撃たれて一発だ。だからこそ俺はひっきりなしに動くことにした。はぁはぁ…結構疲れるな、これ。あっ、敵の位置。

「敵は薄い紅色の葉の木の後ろに一体、崖の上のほうに一体。俺の正面10m先の茂みにもう一体いる。崖の上のやつは射的圏外だろうから降りてくると思う、その時俺はやられちまうからしっかり見ててほしい。」

「了解。」

「ドグは正面のやつのほうへ行け。そうしたら全員の視線がドグに向きやすくなる。」

ツキやんは頼りがいがあり、ちっちは冷静な奴だ。俺は囮。転生してもパッとしないのはそのままかぁ。ため息をつく間もなく俺は正面の奴に突っ込む。茂みに隠れているから本人には気づかれていないようだ。

「ドグ、もっと動きを速く!撃たれちまうぞ!!」

矢が飛んでくる。ひえぇー。逃げ出したくなる気持ちをぐっとこらえて、動き続ける。動きを止めたらそこで死を覚悟することになるから。

「ちっち、俺が撃った矢に木のやつが気づいた。こっちは俺が仕留めるから崖のやつの注意頼む。」

「おっけー。絶対仕留めろよ。」

ツキやんの完全なる信頼。あいつはゲームができる側だから冷静沈着なちっちも完全にやれると信じている。だからこその「おっけー。」なのだと思った。

それが俺なら「気をつけろ。」なのかなぁ、と思うと空しくなってきた。戦闘能力0で囮しか役割がないもんだから困っちまうよな。


ーこの気のゆるみが、正面の奴に気配を悟らせる合図となってしまった。

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