第二話 きみたちの名前
僕は自分の席を見つけ浮ついている心に覆いかぶさるように机に突っ伏した。
「彼女の名前はなんていうんだろう」
さっき黒板に貼られてあった机の表に名前が書かれてあったのに見る余裕すらなかったのか、僕、、、
この高校は右から名前順の席順らしく、彼女は一番左の前の席だが、僕は一番右の後ろという彼女から一番遠いのに加えて、ボッチになりやすそうな席というなんて悲しい結果だった。
僕の名前は「黒田」なのに!
しばらくするとクラスメイトになるであろう生徒たちが続々と教室に入っきて、また先生も入ってきた。
「皆さん。ご入学おめでとうございます!!
本日からあなた達の担任になります。『後藤愛』
といいます!あいちゃん先生って呼んでいいですよー!」
みんなからの拍手はなんだか安堵が含まれてるような音色がする。たしかに親しみやすそうでいい先生なのだろう。1年間お世話になります。
「では、皆さんにも自己紹介をしてもらいたいと思
います!」
これはあるあるだが、出席番号一番からのやつじゃないか。
「じゃあ一番の人からお願いね!」
「はい!」
「出席番号一番!『飯田 まひろ』です!
好きなことは友だちと話すことです!
ホントはもっとあるんですけど、それは友だちに
なってからたくさん話したいと思います!
1年間よろしくです!!」
一番の人堂々としてるなぁ。これはプレッシャーだな、僕は六番だから少し考えようなんて思ってたらあっという間に順番が来てしまった。
「六番の黒田悠です。特技は、、、ないです。
よろしくお願いします。」
考えた結果これって自分でも惨めになる。
はあ、1年間やってけないよ、、、早く帰りたい。なんて思いながらなんとなくみんなの紹介を聞いていたら、
「では次の人お願いします!」
「はい!出席番号27番、『葉山 大樹』です。
好きなことはサッカーです。この高校で日本一
になるために来ました。よろしくお願いしまぁぁ
ぁす!」
めっちゃ元気だな。僕とはほんとに住む世界が違うんだろう。素直に応援したいな。
さて、彼女の番が来た。
「出席番号31番、『水城 雪乃』です。
好きなことは食べることと、風景画を書くことで
す。よろしくお願いします」
みずしろ、ゆきの、いつか彼女とまた話してみたい。友達になれるかは分からない。
僕は普段、神様を信じてはいないけれど、神様のいたずらを信じてみようと思った。
この頃の僕はまだ、どれほど濃く、楽しく、辛い一年になるかなんて、予想もできなかった。
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