第4話 「帰り道にて」

 どうして急に俺と帰ろうだなんて言い出したんだ?

「君がどうやってあの剣を作り出したのか聞きたくてね。誰も知らなかった製造法が君にはできたんだ。」

 確かあの襲われていたお嬢さんがいたでしょ?その人からこんな謎の宝石をいただいたんだ。


 俺もこの透明な宝石が何なのか気になっててね、お前だったら分かるかもしれないなって思ってな。

「この石はただの宝石じゃないよ。これはエネルギーコアさ!」

 エネルギーコアってなんだ?でも見た感じそこら辺にある宝石なんだが。

「しかしこれは大古の宝石だ、今はこれを含めても二つしかないんじゃないかな。」


 このなんたらコアってやつはどのような効果を発揮するんだ?

「僕の国にあるありとあらゆる武器を超強化するものさ。ただ数が少なすぎてみんな見たことないのさ。」

 こんな超貴重なものもらって良かったのだろうか。

(しかし彼女はどこで拾ったんだ?それを聞きださないことには謎のモヤが晴れない)


 なんかブツブツ言ってるぞ、まあ何か考えてるんだろうな。

「あ、僕の家はもうここだからそれじゃあまた明日。」

 あぁまたな。

 俺の家もそこまで遠くないからハルトの家は近所なんだな。


 ふぅ、今日はいろいろあったな。やっと家でゆっくりできるな。

 ただいまーって誰もいないのか?

「あ、あなたは誰ですか?」

 いや俺も誰ですかあって言いたいんですけど…。よし母に聞いてみよう、こいつが誰かってことをな。


 なあ母さん、こいつは一体誰なんだ?お互い知らない人同士だからさめちゃ警戒されてるんよね。

「ごめんね君が学園に行ってる間に来たから知らないわよね。この子はね急遽きゅうきょ養子ようしとして取る子になった、アオサよ。」

 養子かなるほどね、なんとなく理解できたわ。


「なんとなくじゃダメよ、今日から家族になるんだもの。ほらちゃんとあいさつしなさい。」

 わかったわかった、自己紹介しますよ。

 初めまして俺の名前はタツヒロだ、今日からよろしくな!

「っ…。」


 え、無言ですか?さすがに俺が泣きそうなんですけど。

 まあ初対面だし仕方がないか、俺も慣れていかないとな。

「まあまあ一旦ご飯にしましょ、もう用意してあるわよ。」

 ふむ、今日はなんだろうか。パンに肉に野菜か、どういう組み合わせしてるんだ!


 この肉美味いな、どこで買ってきたんだ?

「いやいや野生の動物を殺しただけよ。なんて冗談よ、狩猟しゅりょうチームからいただいたのよ。質がいいから是非食べてほしいってさ。」

 なるほどね、脅してもらったんじゃないのか?

「そんなわけないじゃない、何を言ってるのよ物騒ぶっそうなこと言わないで。」


 美味すぎてすぐ食い終わってしまったよ。しかしいい焼き加減だな、どういえばどうして今日は肉なんだ?

「どうしてってこの子がお肉食べたいって言うから母さん奮発しちゃった。」

 なんだよ貰ったのも嘘なのかよ、結局買ってるじゃないか。

 まあそんなことは気にせず皿を片付けないとな、これは俺の仕事だ。


 ん?どうしてお前まで手伝うんだ?なに、気にしなくていいさ。

「そうよ、いちいち気にしなくていいよ。アオサは先にお風呂に入っていいのよ、なんだったら私と一緒に入る?」

 なんだこの無言の空気は、逆に心配だぞ。

「……はい。」

 あ、よかった返事はしたようだ。さて皿片づけたら俺はこの銃とやらをバッグにしまわなければ。


 ん?誰かがドアをノックしたのか?ちょっと見てくるか。

 どなたでしょうか。

「こんな時間にすまないね、ちょっとお邪魔していいかい?」

 おいおいハルトじゃないか、どうしたんだ?


「この辺りをうろうろする不審者がいるようだからしばらくここにいさせてくれ。」

 不審者とはどういうことだ、この家に恨みでももったやつがいるのか?

 しかしお前って俺の家の隣なのか?

「そうだよ、ちょっと怪しい人影が見えたから心配になっただけさ。」

 なんだそんなことか、ならいいぞ。こうして友達呼ぶのは初めてだしな。


 そういやお前は服は大丈夫なのか?見るからに今着てる一着いっちゃくしかないように見えるが。

「なに心配はいらない、僕はいつでも出せるから。」

 大丈夫なら俺が気にすることはないな。


「まあさっきの話をしよう。実は怪しい人影はアオサはどこってブツブツいいながら歩き回っていたのさ。何か心当たりはあるかい?」

 アオサは今日この家に来た子なんだが、なんだ彼女は逃げ出したのか?

「ふむ、その可能性が高そうだ。どんなひどい仕打ちをしたんだろうね。」


 たしかにな、このままだとアオサがかわいそうだ。いつか彼女が出かけた隙を狙ってさらっていくかもしれない。

「お、お兄ちゃん。一体何の話を…してるの?」

 今の聞こえてたってことか!?


 俺が紹介しよう彼女が…

「初めましておじょうさん、僕はハルトだ。そして君の名前は彼から聞いたよ、だから名前紹介は結構だ。」

 いや自分の名前言うの早すぎだろこいつ、本当に誰にでもいつもの態度で接するな。

「は…はい。どうして気取ったお兄さんは…そのことを知ってるんですか?」

 なるほど、それが気になったのか。


「どうして知ってるのかってさっき君の家の辺りをずっっとうろうろしてるやつがいてね、しかも何を言ってるのかと思ったらアオサはどこにいったのとか言ってたからさ。」

 まあたしかにそんなこと言いながら歩いてたら怪しすぎるわな。

「お願いです!金髪のお兄さんと私のお兄さん、助けてください!!」


 もちろんだ俺の妹のために助けるぞ!

「ハハッ!助ける気がなかったら僕はここにはいないさ。」

 素直に言えばいいのにな、だがそういうところがハルトの面白いところだ。

「ありがとうございます、これでやっと私も楽になれるんですね。」

 ま、そうなるかな。まずは奴をどう追い払うかだな、それはハルトと計画するから任せな。


「そうだお嬢さん、ちょっといいかい?」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る