環状線スタイル

 学校の王子様と付き合うことになった。

 彼が有名か否かは正直どうでも良くて、自分が人に好かれていたという事実が、私には限りなく愛おしい。

 でも、それを、彼の取り巻きの女子に目撃されたら、どうなると思う?

 王子様のファンに囲まれていじめフラグ……が、定番だと御思いでしょう?

 答えは、ノー。噂話に上って、嫌悪感を抱かれることはあっても、あんなにわかりやすくいじめらしいいじめに発展するのは、ごく少数。私は、一度もそんな事になったことがない。

「……だからさ、もうちょっと距離を取ってくれるかな?天澤あまさわ君。」

 この王子様、それなりに気が利く人じゃなかったっけか。私の勘違いか?

「いやいやいや、皆にバレたってことは、隠す必要なくなったってことだから!堂々と、そばにいる権利が活用できるんだよね〜!」

 ……楽しそうですね。

 王子様の本性、私はまだ良く分かっていないのかもしれない。調べる価値はありそうだ。

 もう思えないけれど、可愛さを秘めた天澤君。

 時折見る、無情の冷たさを露わにした天澤君。

 私も彼も知らない、深く隠れたままの天澤君。

 どれが、天澤雅緋なんだろう。

 ……まあ、取り敢えず、嫌いじゃないし、いっか。なんでも!

 

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