第14話 闇医者の拷問、事件の真相
今日は新作の薬を試そうと思う。最高濃度を誇る"スピリタス"から抽出したアルコールを調整しつつ、料理に混ぜる。味見すればふわふわとした心地よさに包まれ、酒豪である彼女は笑みを零す。
「やぁ、今日の食事だよ」
「……ありがと」
感謝の気持ちくらいはあるらしい。メニューは明太子ごはんと味噌汁、鮭のムニエル。緑茶もことん、と机に置いて部屋を後にする。
1時間後━━━━。部屋を訪れると。
「嘘。妓女なんて務まったの?」
すやすやと寝息をたて、ぶっ倒れていた。
「マジか、この女」
愛嬌がなくはないんだよなー、と殺すのに躊躇いを覚えそうだと思う。つんつん、とつつく。
「凛花を差し向けたのはあんた?」
「
舌も回っていないが嘘ではなさそうだ。茉仁荼にとりあえずの報告だ。
「もしもし、茉仁荼。どうしよ、楼花と凛花は関係ないらしいよ。たぶん大元が同じなだけだわ」
「解放したらいいんじゃないですか?」
「指先だけ治すよ。爪のあたりまでにしておいてよかったー」
「じゃあ、俺もあとでいきます」
「うい。待ってるよ」
さて、と指先を消毒してガーゼをあてる。くるくると巻いた後、防腐剤を打ち直す。糸のこを外して、風呂に入らせる。一旦怪我に包帯を巻いて膿まないようにする。
「この私が間違えて拷問しちゃうとか情けなさすぎる」
そう呟くと、ぱちぱちと楼花が瞬きした。
「あれ、どこ……?」
「ごめん、間違えてたみたい」
「は?」
「凛花と関係ないなら別にいいんだよね」
「自由、ということ?」
「うん。怪我は二週間くらいで完治する。今回はお前が悪いというより大元のせいだから凛花と関係無いなら大したことも知らないだろ?」
「そうだけど、密偵だったのよ?」
「だからなに」
黙り込んでしまう楼花。
「茉仁荼が来るまで大人しくしてて」
とんとん、とドアノックが鳴る。
「入っていいよ」
「姐さん、久しぶりだな。来てやったぜ」
「今日連斗は?」
「いねぇけど」
「何用?」
「会いに来ただけだけど」
何こいつ、と思って見つめる。放っておこうと思っえ無視すること15分、茉仁荼がやってきた。続けて凮雅も来たことで、紅茶を2人に差し出す。
「凮雅、これお代。足りる?」
「十分。それじゃあ、俺の目的は終わったから帰る」
「またよろしく」
こくん、とうなずき立ち去る彼は旧友といってもさしつかえない友人で、5年前から知る人物だ。
「で、茉仁荼は楼花でしょ?」
「それよりこの人、いつまで置いておくんですか?」
「え、いらないならぽいってしといて」
「はーい」
「は、ちょ、待てよ!」
止める声も虚しく、家から出される。
「じゃあ本題といこうじゃないか」
少女は妖しく微笑んだ。
連続殺人犯は暗殺者と名高い凛花こと、"
そして並行して殺人や、
共犯と思われた2人だが互いに上の命令で動いていただけであり、楼花に関しては情報の提供のみなので怪我が完治したら自由にしてもいいんじゃないか、というところで茉仁荼が呼ばれた訳だ。
「大体わかった?」
「でもその上層部って本当にあの間抜けな議員だけでしょうか? 1人では無理なのでは?」
「そうだね。だから楼花には最後にある仕事をしてもらうよ」
「どのような?」
「死んでもらう。戸籍とか住民登録はないから、そう思わせる的な感じになるわね」
楼花に上層部の名前を毎度のアルコールで吐かせる。
「よし、メール打つね?」
楼花を拷問し、情報を吐かせた後に殺したことを伝える。
「しかし、姐さんは思いきったことをしますね」
「鬼が出るか、蛇が出るか、どっちにしろ地獄より酷いものを魅せてやるつもりだわ」
嗜虐的かつ、艶を帯びたその微笑は。彼女の自信とプライドを象徴していた。
少女は達也と連斗に電話をかける。
「ねぇ、達也のところに
「あるけど。あの蠱毒だろ?」
「濡羽さん、何する気?」
「ちょっとした殺人?」
彼女はまだ、薄く笑んだまま。
そのとき、外では残念イケメンこと犁柘が耳を澄ませていた。
「え、あの人そこまでヤバい人なの?」
若干の動揺と焦りの入り交じった声音は誰にも聞かれることはない。
武具紹介
その昔、人を塵のごとく溶かしたという逸話をもつ。数十種では済まない数の毒が混ざり、調和を保っている蠱毒。中国で四つの災厄と呼ばれるものに器の黄色い紋様が酷似している。
現在公開可能なキャラクター情報
死体処理を務める濡羽の旧友。クールで言葉数が少ない。異国から売られてきたラフィア、という少女を連れている。噂によると名のある家の出らしい。
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