第12話「この気持ち」

 こうやってストレートに気持ちを伝えることに慣れていない。体の奥から熱がのぼってきて、顔が赤くなっていくのが分かった。


 けど言ってしまったんだ。突っ走って言ってやる!恥ずかしい!


「いろんな友達が中学、高校でできて楽しい思い出とかもたくさんできたけど、どこか寂しかったんだよ。そん時もなんでかなーって思ったけど、わかんなかった。でも由美佳と大学で再会してからその寂しさが消えたんだ」


「そこで気づいたんだ。由美佳と一緒にいたら寂しくないんだって。めっちゃ楽しいんだって」


「だから、由美佳、付き合ってください。彼女になってください」


 言い切った。こんなに気持ちをストレートに言ったのは初めてだ。心臓がバクバクしている。顔が真っ赤になっているのがわかる。恥ずかしい、照れくさい、目を開けられない。


 どれくらいの時間が流れたんだろうか。数秒かもしれないし、数分、もしかしたら数時間かもしれない。


 由美佳の反応も気になった。けど怖くて目をあけられなかった。急な告白にひいてしまったかも、とネガティブな考えが頭をぐるぐるし始めた。


「ありがとう、和彦。私のこと、そう思ってくれてたんだね」


 シュルシュルと紐がほどかれた。


「私も和彦のことずっと想っていた。小学校の時に離れてからずっと。もう会えないのかなって思ってた。中学、高校も楽しかったけど和彦がいればもっと楽しかったんだろうなって思ってた」


「大学の入学式。大きくなった和彦、一目でわかったよ。とってもとってもかっこよくなってた」


「ほら目を開けて」


 優しい手が頬に触れた。ゆっくりと目を開ける。


 テレ、恥ずかしさ、嬉しさ、ずっと思ってたこと、いろいろな感情が入り混じっていた。


「ハハッ、変な顔になってるな」


「和彦だって、変な顔になってるよ」


「だな」


「ふふっ、そうだよ」


「ありがとな、彼女になってくれて。よろしくな」


「私もありがとう、告白してくれて。うれしい。よろしくね、未来の旦那さん」


 優しく、そしてめいいっぱい、お互いを抱きしめた。この気持ちをかみしめるように、そして一生忘れないように。

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幼馴染が知らない間にヤンデレになっていた 広野ともき @sizen

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