第11話「お洒落とは程遠い大学生活2」

「大量買いだな」


 俺たちは梅田・日本橋散策を終えて、梅田にあるフードコートで晩御飯を食べながら一息ついていた。


「ずっと欲しかったのが売ってたからね。もう手が止まらなかったよ。でもこれでもかなり絞り込んだんだよ」


 麗奈が持ってきたカバンは本で膨れ上がっていた。さっき軽く持たせてもらったけどかなり重い。加えて角ばった本のおかげで背中が痛かった。


「そういや麗奈の家に本棚あったっけ?」


「ちょっとしたのはあるけど、これでもう埋まっちゃうよ。うれしい悲鳴」


 確かに顔がにやけていた。ちなみに今日巡ったのは日本橋の電気街ではなく、サブカルチャーの店、主に同人誌を扱っている店だ。そしてあのカバンの中には大量の同人誌、主に男色の同人誌が入っている。


 麗奈がなぜ俺を連れて行ったのか。それは初めて行く土地ぶ一人で行くのが怖かったこととナンパ対策らしい。日本橋でもナンパは起こるのか……と思ったが、確かに起こってもおかしくないなとは実際に来て思った。


 麗奈が同人誌を巡っている間、俺は違うフロアで男向けのマンガや小説、同人誌を見ていた。そこまでアニメに詳しいわけではないけど、やっぱり知っている作品があればテンションが上がった。せっかく来たというわけで、俺は一冊だけ同人誌を購入した。


「本当に今日は付き合ってくれてありがとね。おかげでスムーズにいろんなお店を回ることができたよ。最後に服だけ軽く見てかえってもいいかな」


「いいぜ」


 麗奈と梅田を軽く歩いて帰宅した。


 そして俺は縛られた。


「なぁ、だからずっと勘違いだって言ってるじゃん。そろそろほどいてくれよ」


「だとしてもあの娘があんなに楽しそうな表情をするわけがない」


「いやだから、あれは麗奈が好きなBL作品を見つけて、それで嬉しそうな表情になっていたんだって」


 たまたま梅田に由美佳もいたらしくて、それで俺たちをみかけたらしい。それで一緒に晩御飯を食べないと誘われて、迎えに行くねと言われて待っていたらこうなっていた。


「もしかして和彦はそっちなの……」


「彼らを否定する気はないが、俺はそっちじゃない……。俺は由美佳が一番……」


「……え」


 思わずついつぶやいてしまった。もっとかっこよく言いたかったのに。ええい、もう全部言ってしまえ!


「入学式で思いもせずにまた会えて、由美佳が好きだったときのことを思い出して、まだ由美佳が好きだって自覚したんだよ。だって再会したとき、めちゃくちゃ可愛いって思ったんだぜ」

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