君との思い出

※第14回のお題は「忘れる」です


 私は小さい子どもの時に起こったことをほとんど覚えていない。

 だけど自分の子どもが、つい昨日あったことも忘れてしまうのを目の当たりにするとショックだった。

 当たり前だと思っていたことなのに、寂しく思った。

 お座りしだすようになった頃から新幹線に興味を持ち始め、四歳ぐらいの時には、新幹線スポットによく連れて行った。

 そんな子どもは、今十七歳。

 今は動物のことを調べるのに夢中だ。

 小さい時は新幹線が好きだったと言うと、そんなの覚えてないと笑う。

 新幹線が好きだった小さい子は、遠い記憶の彼方に行ってしまった。

 でも私は、その思い出を今こうして噛みしめることができるから、過ごしたあの頃は無駄ではなかったと思っている。


(299文字)

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