第13話「先に散った友達へ」

 Side 南雲 浩一


=昼・イスズ学園・墓地=

 

 墓地に到着した。

 と言っても適当に広い場所を改造して深く埋めるだけの場所だ。

 墓標代わりに遺品などを立ててあり、花や食べ物、飲み物を備えられていれば上等、半ば共同墓地状態だ。


 実態は更に酷い。

 死体がバラバラになってパーツを適当に埋められたりとか、パワーローダーの爆発に巻き込まれてヘルメットの中の頭部しか埋められなかった奴もいる。

 中には顔が吹き飛んで体だけが残ったりとか。

 

 とにかく戦場の死に方のありとあらゆるパターンは全部見た。

 今なら映画のグロイシーンを見ながらステーキを普通に食えそうな気がする。

 

 俺以外にも様々な人間が墓地を訪れて死者に語り掛けていた。


 珍しくも何ともない光景だ。


(木里さん達も通った道なんだろうな……)


 木里さんは確かに強い。

 仲間も強いんだろう。

 死とは遠い存在に思える。


 だが無敵のスーパーマンではない。


 銃弾を撃ち込めば死ぬ人間なのだ。


 時折そんな当たり前の事を忘れそうになる。


 そんな事を考えているとこの先生きていけるのか不安になってきてしまう。


 先に逝ってしまった文芸部の部員に語り掛けるように俺は――


「文芸部の生き残り、俺だけになったな――」


 男所帯で理想の青春とは程遠いように感じたが、楽しかった。

 

 だけど死んでしまった。


 全員。


 全員死んでしまった。


 俺だけが生き延びた。


 何か特別な力があるとかそんなんじゃない。


 ただ運良く生き延びてしまった。


 俺だけがだ。


 あいつらは今の俺を羨むだろう。


 女の子に言い寄られての戦場のラブロマンス。


 上手くやれば3●のセッ●スなんかも出来るかもしれない。


 だけどもこう思ってしまう。


「何で俺なんかが生き残っちまったんだよ……今なら女の子選びたい放題だぞ? 夢にまで見たハーレム展開できんだぞ? だからさ、帰って来いよ。出来ないならせめて異世界転生して、チートして、ス●ホ太郎とか言われても良いから人生イージーでハーレム作れよ……」


 と。


 ああ。

 なんで現実はクソッたれなんだろう。

 なんで自分は生きてるんだろう。

 

 なんで自分はクソな大人の命令で戦争してんだろう。

 

「え」


 キリノが突然背後から掴みかかって来て強引に唇を――


「~~~~~~~~~~!?!?」


 何が何だか分からなかった。


 続いてリリが――


「~~~~~~~~~~!?!?」


 此方も強引に唇を。

 とにかく押し当ててきた。


「これでいいわねキリノ?」


「はいリリさん!」


 そして俺は周囲の目など、お構ないなく、ズルズルとその場から両腕をそれぞれキリノとリリに拘束され、強引に連れていかれた。  

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