第11話「哨戒任務その2」

 Side 南雲 浩一


=昼・イスズ市・市街地=


 敵の物量と火力に押されてジリジリと後退しながら応戦する。

 廃墟だった街並みにダメ押しの一撃が加えられて倒壊していく。

 

『クソ!? 何人やられた!?』


『少なくとも十人だ!!』

 

『仇は取ってやる!!』


 味方の支援を受けながら敵のパワーローダー、クリーガーⅡが接近してくる。

 カラーはグリーン。

 生身の兵士がつけそうな丸っこいヘルメットのような頭部。

 横長のレンズに光る一つ目。

 両肩は丸味を帯びたショルダーアーマー。

 リアルロボットアニメの敵側のヤラレメカみたいなデザインである。

 

 正規の軍隊だけでなく傭兵や、俺達日本側も少数ながら鹵獲品などを所持している。ヴァイスハイト帝国のベストセラー兵器だ。


 武装も専用の様々な開発されていて、12・7mm弾のアサルトライフルが主流だ。

 ちなみに自分達が使う零戦二型のアサルトライフルも12・7mm弾である。

 

『このままだと、私達全員ここで死ねわよ!?』


 と、リリが言う。

 敵の火力差が違い過ぎて反撃もままならない状態だ。


『スモークを焚いて後退しましょう!!』

 

 キリノが現実的な案を言う。


『キリノの案に賛成!! スモークを焚いて後退するぞ!!』


 俺はキリノの案に賛成してスモークグレネードを使う。

 辺りに煙が急速に充満して視界不良になってきた。

 逃げるのは得意なんだわ。


『聞こえるか――』


『霧島監督官!!』

 

 ここで霧島監督官から通信が入った。


『指定されたポイントに後退しろ!!』


『分かりました――』


 指示通りにブースターを吹かして、地面を滑るようにして高速で動く。

 何体かスモークを突っ切って追撃をしてきた。

 だが機動力はクリーガーⅡより此方の零戦二型の方が上。

 あっと言う間に突き放す。


 念のため、足止めのためにグレネードのピンを抜いて立ち去っていく。

 


 学校に近い指定ポイントに到達。

 しつこく追撃してきたクリーガーⅡはあっと言う間に待機していた味方の攻撃でバラバラになった。

 攻守が逆転し、今度は此方が反撃する番だ。


 と言う所で敵側も後退していくのを確認した。 


『はあ……大変だった』


 何年分か寿命が縮んだ思いである。


『お疲れ様です、浩一さん』


 キリノが優しく褒めてくれる。


『まあ、初めてはこんなもんじゃないかしら』


 と、リリは評する。

 ともかく生き延びれた。

 その事を喜びつつ、基地に帰還した。



 Side 霧島 マリナ 監督官


 =夜・イスズ高校・監督官私室=


 私は作戦計画書を眺めていた。


 上は敵の大規模侵攻を座して眺めているつもりはないらしい。


 此方から仕掛けるつもりのようだ。


 様々な事を考えた。


 戦略、戦術的価値、作戦成功に伴う戦果などなど――


 だがどちらにしても、これは子供達にまた、危険な目に遭わせると言う事だった。

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