【和風F】【中華F】馬の色(鹿毛や芦毛など)について

 鷲生はここのところ三川みりさんの和風ファンタジー『龍の国幻想』を読んでいます。

 2024年4月現在、第6巻まで刊行されているようで鷲生は第5巻に入ったところです。

 この本については後述するとして(※1)。


 この作品中にキャラたちの乗る馬の色の表現があったので、思い立って馬の色についてちょっと調べてみました。


 馬の色について、公的な情報源としては以下の2つが挙げられるかと思います。

 ①「公益社団法人 日本馬事協会」の「馬の毛色及び特徴記載要領」(※2)

 ② JRA「サラブレッド講座 毛色の種類」 ※3https://www.jra.go.jp/kouza/thoroughbred/color/


 ②のJRAは言わずと知れた競馬の団体なわけですが。

 日本馬事協会とはどんなところだろう……と思ってウェブサイトを見てみると概要のところに「農林大臣設立許可」とあります。

 事業の範囲の筆頭に「種雄馬及び種雌馬の繋養、種馬の登録その他馬の改良増殖」と挙がっています。


 荒川弘さんの農業漫画『銀の匙』に馬を飼育している農家が登場するので、こういった畜産関係の団体なのでしょうね。


 ②によればサラブレッドの毛色は8種類なのに対し、①の日本馬事協会では14種類挙がっているのでこれを見ていきましょう。


 その14種類の毛色は、栗毛・栃栗毛・鹿毛・黒鹿毛・青鹿毛・青毛・芦毛・粕毛・駁毛・月毛・河原毛・佐目毛・薄墨毛・白毛です。


 以下、鷲生の手控えとして説明を列挙しますが、詳しくは日本馬事協会の出しているPDFファイルをご覧ください。


 なお、被毛・長毛という単語が出てきますが、乗馬クラブなどの初心者向け解説によると被毛が身体全体の毛、長毛とは、たてがみ・前髪・尻尾のことを指すんだそうです(※4)


 ・栗毛(くりげ)全体に黄褐色。黄褐色といってもWikipediaの写真とか見ていると、普通に茶色という感じです。


 ・栃栗毛(とちくりげ) 全体に黒味がかった黄褐色から黒味の非常に濃いものまである。


 ・鹿毛(かげ) 全体に明るい赤褐色から暗い赤褐色まであるが、長毛と四肢の下

 部は黒色。 栗毛との違いは、長毛と四肢の下部の色で栗毛は黒くならない。


 ・黒鹿毛(くろかげ) 被毛は黒味がかった赤褐色で、黒味の程度により相当黒く見えるものも。眼の周辺、腋、膁、下腹及び内股は褐色で、長毛と四肢の下部被毛の色の濃淡にかかわらず黒色


 ・青鹿毛(あおかげ) 全身殆ど黒色で眼及び鼻の周辺、腋、膁等が僅かに褐色。


 ・青毛(あおげ) 被毛、長毛共に黒色である。季節により毛の先が褐

 色となり、黒鹿毛や青鹿毛のように見えることがある。


 ・芦毛(あしげ) 原毛色は栗毛(栃栗毛)、鹿毛(黒鹿毛、青鹿毛)、青毛等であるが、被毛全体に白色毛が混生し、年齢が進むにつ白色の度合いが強くなる。


 ・粕毛(かすげ) 原毛色は栗毛(栃栗毛)、鹿毛(黒鹿毛、青鹿毛)青毛等であるが、主に頸、驅幹、四肢の上部に原毛色と白色毛が混生するもので、その色合いは、年齢が進んでも白色の度合いは変わらない。


 ・駁毛(ぶちげ) 体に大きな白斑のあるもの。


 ・月毛(つきげ) 被毛は、クリーム色から淡い黄白色のものまである。長毛は、被

 毛と同じ色から白色に近いものまである。


 ・河原毛(河原毛) 被毛は、淡い黄褐色から、艶のない亜麻色まである。長毛と四肢の下部は黒色。


 ・佐目毛(さめげ) 被毛、長毛共に象牙色で、眼は魚目、皮膚はピンク色である。


 ・薄墨毛(うすずみげ) 被毛は薄墨色で、長毛と四肢の下部は黒色。


 ・白毛(しろげ) 被毛は大半が白色であり、有色の斑紋及び長毛を有するものもあ

 る。眼が青色のものもある。皮膚はピンク色で一部に色素を有するものがある。

 芦毛との著しい違いは生時に既に大半が白色を呈していることである。


 字面や実際の姿が小説の中で映えそうなのは、「青鹿毛」「芦毛」などでしょうか。馬に大きな特徴を持たせるなら「駁毛」もあるかもしれません。


*****


 三川みりさんの和風ファンタジーは衣装などが奈良時代で、建物は高床や簀子縁のある平安時代の寝殿造がモデルのようです。


 2巻の帯に「男女逆転宮廷劇」との文言がありますし、「ファンタジーににジェンダーを組み込んだ作品」と評されるのを見かけた頃もあります。

 ただ、鷲生は「小説新潮」で三川みりさんと多崎礼さんの対談を見かけたのですが、女性だけでなく、何らかの会的に劣位に置かれがちな特性を持った人たちを広くテーマにされているようです。


 アマゾンのレビューで作者と価値観が似ているので楽しみに追いかけているというコメントを見ましたが、鷲生もそうです。

 続きを読むのが楽しみです。おススメですよ~。


 *****

 ※1 三川みり『龍の国幻想』 新潮社https://www.shinchosha.co.jp/special/ryuunokunigensou/


 ※2公益社団法人 日本馬事協会「馬の毛色及び特徴記載要領」https://www.bajikyo.or.jp/pdf/keiro.pdf


 ※3 JRA「サラブレッド講座 毛色の種類」 https://www.jra.go.jp/kouza/thoroughbred/color/


 ※4 みんなの乗馬「 馬の豆知識> 馬の毛色」(分かりやすい写真も掲載されています)。

 https://www.minnano-jouba.com/mame_chishiki09.html#:~:text=%E3%81%93%E3%81%93%E3%81%A7%E3%81%AF%E9%A6%AC%E3%81%AE%E6%AF%9B%E8%89%B2,%E3%81%BF%E3%80%81%E3%81%9F%E3%81%A6%E3%81%8C%E3%81%BF%E3%80%81%E5%B0%BE%E3%81%AA%E3%81%A9%E3%80%82

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