【和風F】【中華F】京博「辰づくし─干支を愛でる」展に行ってきました。その2
京都国立博物館の「辰づくし」展(※1)。
先週行ってきたのでその記録です。
三部屋ある会場のうち、二番目の展示室のテーマは「龍はリーダー」というもの。
「龍は鱗のある生き物のリーダーと考えられるように」なり、「雲や水をあやつる不思議な力を持った龍は力のある人の印」となって、よく知られるように五本指の龍が中国皇帝を示すようになります。
11 雲龍文存星輪花食龍(※2)
清の皇帝がご馳走を食べるときに使ったものだとか。
https://www.kyohaku.go.jp/jp/learn/home/dictio/shikki/180/
12 龍袍金黄綴織(※3)
https://colbase.nich.go.jp/collection_items/kyohaku/I%E7%94%B2558?locale=ja
色鮮やかな袍です!
京都国立博物館の「辰づくし」展のチラシにも印象的に使われています。
13 十二類絵巻 三巻のうち巻上・巻下(※4)
「雷の音を響かせて空から現れた龍」が描かれていました。鷲生の作品でも雷とともに空を飛んでもらいましょうかねw
次の展示室は「龍を描く」がテーマで、「龍を描くにはお決まりの組み合わせがいくつかありました」とのことです。そのお決まりの組み合わせとして「昇る龍・降りる龍」「雲と龍」「龍と虎」が上がっていました。
14 雲龍図(※5) https://www.kyohaku.go.jp/jp/torarin/blog/2024/01/240112.html
降る龍と昇る龍とで一対のように展示されていますが、説明文によると、もとは上下に繋がっており、天にいる親の龍が、海にいる子の龍を呼ぶ絵だったそうです。
(今さらですが、京博がこの展示についてブログ記事にしていらっしゃっています。その中で解説されています)。
15 富士山登龍図(※6)
「海から勢いよく飛びあがった龍が」「墨をにじませて描いた雲はまるで今も目の前で姿を変えているようです」
16 昇龍墨意(※7)
これは時代がぐっと新しく、中華民国の画家が描いたそうです。
うろ覚えですが、日本にいる支援者へのプレゼントだったとか……。
17 龍琥図屏風(狩野山楽 ※8)
こ・れ・は! 迫力でしたよ~。
鷲生は自分の書くファンタジー小説の取材として「学術品」を見に行く心構えで臨んでいたのですが、これは「美術品」。
ド迫力でカッコええーっと見入ってしまいました。
解説文に「龍が現れて天気は大荒れ、地面の草木は吹きとばされそう」とあります。
右手の枝もたわんでいるような。
龍の呼び寄せた嵐を受けて立つような虎の姿も活き活きしています。
いや~、ええもん見ました!
18 龍琥図屏風(単庵智伝 ※9)
「龍琥図」としては最古のものになるようです。解説文に「雲を呼ぶ龍 風を呼ぶ虎」という表現がありました。龍と雨は知ってましたが、虎は風を呼ぶんですか。へえ。
19 俵藤太絵巻 三巻のうち巻上
藤原秀郷が百足退治をした話で、今回の展示では金戒光明寺所蔵のものがありました。
ちょっと記憶が曖昧なんですが……。
藤原秀郷が老人(龍が変身した姿)に頼まれて大百足を退治しています。
その絵の中では、龍がその様子を見守っています。
そして、百足退治に成功した秀郷がきらびやかな竜宮に連れて行かれます。
少しずつ内容の異なる絵巻があちこちにあるようです。鷲生が見たのと同じ画像は上手く見つけられませんでした。
19の絵巻物の内容から生み出されたのか、隣に人形もありました。(※10)
20「武者人形 藤原秀郷」21「武者人形 龍神」です。
龍神の人形の前には机があって、珊瑚・巻物・巾着袋が載ってました。
重ね着している内側の衣が薄ピンクでフリルみたいになっているのが可愛らしかったですねw
22 日高川草紙
道成寺縁起の異本のようです。
https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/100889
23 双龍花鳥蒔絵螺鈿裁縫道具入(※11)
これはオランダ人が日本で作らせて、オランダに持ち帰って使っていた品だそうです。
京博のブログにも紹介されています。
鷲生はオランダのライデンのシーボルト博物館に行ったことがありますが、なかなか充実した内容でした。日蘭交流の一つですね。
24 雲龍蒔絵硯箱(※12)
「薄暗い中にギラリと光る目玉が二つ。雲の間から龍がのぞいています。立派な角に長いひげ、大きな口 鱗のある長い体、鋭い爪」
いかにも「龍」という感じの「龍」のデザインです。
ところがこれ以降の展示はちょっと「龍」から離れます。
25 花鳥龍獅子図螺鈿印箱
ここに描かれている龍は、「雨龍」であり「角がなく体に鱗がありません」とのこと。
26 日月蒔絵硯箱
こちらの龍も「細い体に大きな頭、角や鱗のないこの龍は『雨龍』です」「身体は青緑色で雨を降らせると信じられました」
「龍」でも角や鱗がある「ホンマモンの龍」と「それはないけど雨は降らせる雨龍」とに分かれているようです。
鷲生の次回作では「龍」に雨を降らせる役割を担ってもらうつもりですが……。正確には「雨龍」かもしれませんが、ファンタジー小説内での「パエ」を考えて普通の龍で描写することになるかと思います。
27 斗牛服
28 波濤飛魚図前掛
「龍」は神聖なものなので、そうおいそれと図案に使えなくなり、そこで”龍と似ているけど龍じゃない”生き物の図像が使われるようになったそうです。
それが「斗牛」「飛魚」です。
*****
この展示の説明にもありましたが、干支の中で「龍」だけが実在しない生き物です。
鷲生も次回作に登場させたいものの、イメージが膨らみません。
そこで、今回この展示に足を運んだのです。で。やっぱり文字以外の芸術作品に触れるってエエなあ~と感じています。
やっぱり想像しやすくなります!
東京でも類似に展示があるのだとか(※13)。
京都住まいでなければ行ってみたかったです(残念……)。
*****
※1 京都国立博物館「辰づくし」展
https://www.kyohaku.go.jp/jp/exhibitions/feature/b/tatsu_2024/
※2 雲龍文存星輪花食龍
https://www.kyohaku.go.jp/jp/learn/home/dictio/shikki/180/
※3 龍袍金黄綴織
https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/578633
※4 十二類絵巻 三巻のうち巻上・巻下
https://www.kyohaku.go.jp/jp/learn/home/dictio/kaiga/juni/
※5 雲龍図 https://www.kyohaku.go.jp/jp/torarin/blog/2024/01/240112.html
※6 富士山登龍図
作者の名前や書かれた年からして以下の画像のようですが、鷲生の記憶では横長だったような……。でも、確かにこんな絵でした。
https://spmoa.shizuoka.shizuoka.jp/japanese/collection/symphony/fukei/pt1_14.php
※7 「昇龍墨意」が治められている「須磨帖」の冊子です。
https://colbase.nich.go.jp/collection_item_images/kyohaku/A%E7%94%B21257?locale=ja
※8 龍琥図屏風(狩野山楽)
京都の妙心寺蔵のものが、東博で展示されていたことがあったようで、その紹介記事です↓
https://www.tnm.jp/modules/rblog/1/2016/11/18/%E7%A6%85%E5%B1%95%E3%80%8C%E5%B1%B1%E6%A5%BD%E3%81%AE%E5%90%BC%E3%81%88%E3%82%8B%E3%83%88%E3%83%A9%E3%80%8D/
※9 龍琥図屏風(単庵智伝)
京博での別の展示の紹介記事です↓
https://www.kyohaku.go.jp/jp/torarin/blog/2018/07/180724.html
※10 武者人形 藤原秀郷
武者人形 龍神
https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/571466
※11 双龍花鳥蒔絵螺鈿裁縫道具入
https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/595849
※12 雲龍蒔絵硯箱
https://bunka.nii.ac.jp/heritages/detail/576383
※13 静嘉堂文庫美術館「ハッピー龍イヤー! 〜絵画・工芸の龍を楽しむ〜」
https://www.seikado.or.jp/exhibition/current_exhibition/
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