『紫式部 女房達の宮廷生活』読了しました。

 平凡社新書『紫式部 女房達の宮廷生活』(※1)を読み終えました。


 うーーん。

 もともと平安時代に興味があるタイプにとってはそれほど目新しい内容は多くはなかったんですが。


 ただ、2024年大河ドラマ「光る君へ」の放送後にX(旧Twitter)のポストを眺めていますと、鷲生のように普段大河ドラマを見る習慣はないけれど「光る君へ」は追いかけているタイプの人間だけではなく、もともと週末に大河ドラマを見る習慣があり、戦国時代や幕末に詳しいけれど平安時代のことはよく知らないというタイプの人もいます。


 この後者のようなタイプの人には、とてもイイ参考書になるのではないかと思います。


 以下、鷲生が読みながら付箋を貼った箇所を、鷲生の手控えとしてつらつら書いてまいります。


『源氏物語』の浮舟が地方育ちだから軽く見られてたのは認識してましたが、常陸国だったんですね(48頁)。

 鷲生は次回作に常陸国育ちの若君を登場させようかと思っているので印象に残りました。


 女房として働く人々が「貴族社会の中でどのように受け止められていたのか」については枕草子「おひさきなく、まめやかに」段に書かれているとのこと(94頁)


 また、「道長が伊周というかつてのライバルの娘を女房として迎えたのは、勝者の振る舞いであることは否定できないが」としつつも、著者の福家俊幸さんは「社会福祉制度がない時代に父を失った娘を女房として迎え入れることは娘の自活の支援にもなった」という側面も指摘されています(100頁)。


 紫式部日記の8月26日では「中宮彰子が薫物の調合をしている」とのことで、「薫物とは練香とも言われ、沈、白檀、丁子などの香木を粉にして、蜂蜜で練って丸めたものであった。(中略)そのブレンドの比率は家ごとに秘伝があったとされる」のだとか(147頁)。

 鷲生は白檀のアロマオイルを楽しんだことがありますが、今度は別のも試してみたいですね(※2)。


 174頁には、御帳台の中に小さい灯炉をかけるということが書かれています。


 197頁には「この時代、過差(ぜいたく)を戒める風潮が強かった」とあり、平安ファンタジーで贅沢という言葉のかわりに「過差」という感じを使うとソレっぽくなるかなあと考えましたw


 196頁では、気の合わない同僚女房とのストレスを、親友の小少将の君と愚痴っている場面が紹介されています。


 紫式部について書かれたもの、例えばコミックエッセイの『日本人なら知っておきたい日本文学』とか漫画『神作家・紫式部のありえない日々』などでも紹介されるエピソードですが、研究者様の書かれた文章から原文にも辿り着けると思うので、それは今回この本を読んだ収穫だと言えるかと思います。


 大河ドラマ「光る君へ」の人気のためか、図書館で借りて来たこの本には既に予約が入っています。

 読み終えたことですし、明日にでも返却しに行ってきます!

 次の人にすぐにわたりますように……。


 ※1『紫式部 女房達の宮廷生活』2023 福家俊幸 平凡社新書 https://www.heibonsha.co.jp/book/b633650.html


 ※2「第5話【和風F】【中華F】白檀、涼しく甘く……」

 https://kakuyomu.jp/works/16817330661485429107/episodes/16817330661492398798


 ※3『日本人なら知っておきたい日本文学』 https://www.gentosha.co.jp/book/detail/9784344020375/


 ※4『神作家・紫式部のありえない日々』

 https://zerosumonline.com/detail/murasakishikibu

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