青年期 296

「…うーわ、すっご…」



先に進みながらダチョーと戦う時に剣や槍のひと突きで倒す方法を実演して見せると…何故か女の子はヒいたように呟いた。



「ってか弓矢なのに弓使わないじゃん」


「接近戦になったら矢をそのまま突き刺した方が早くね?」


「そりゃそうだけど…」



…魔物の核に矢を突き刺して倒すと女の子がツッコミを入れるように言い、分身の俺がそう返すと女の子はなんとも言えないような顔で納得いかないように呟く。



「…せっかく見せてもらってアレだけど…ソッチのやり方だと多分誰も真似できないよ。強化魔法を極めてても無理だと思う」


「だろうな」


「普通冒険者って防御に関しては敵の攻撃をいかに上手く避けるか、いかに上手くガード出来るか…の技術を磨くわけじゃん?あなたみたいに当たる前提で…ってか受ける事を目的とした耐久プレイじゃ長生き出来ないし、直ぐに身体壊して引退しちゃうよ」


「だろうな」



女の子は呆れたように断りを入れて否定的に話し、分身の俺が肯定して返すと…



女の子が常識的でオーソドックスな当たり前の話をしてくるので分身の俺は流すように肯定する。



「一応一つ訂正すると…受ける事を目的としてるのはコレが修行だからで、初見の魔物と戦う時や人と戦う時は普通に避けるぞ」


「えっ!?そうなの!?」


「当たり前だろ。流石にどんな攻撃でどのくらいの威力があるか分からん未知の攻撃をそのまま棒立ちでモロに受けるような命知らずじゃねぇし」


「…意外…でも私の時は一切避けなかったじゃない?その素振りすら見せなかったし」



分身の俺の訂正に女の子は驚愕し、微妙な顔をしながら説明すると女の子が驚いたまま意外そうに呟いて過去の話を聞いてきた。



「銃弾の威力については学生の時に一回受けて既に知ってたからな」


「…あ。そういや昔は避けてたっけ…?なんで避けれるの!?ってめちゃくちゃビビった気がする」



分身の俺が理由を言うと女の子は思い出すように呟いて当時の事を話し始める。



「俺もめちゃくちゃビビった。まさかあんなサバゲーみたいなスポーツの大会でスナイパーライフルと実弾を使ってガチに殺しにかかる奴が居るとは思わなくてな」


「うっ…だってまさかゴム弾が頭に直撃しても微動だにしないとは思わないじゃない…?みんな当たったら気絶したり倒れたりするのに…」



分身の俺も当時の事を思い出して言うと女の子は気まずそうな顔をして言い訳をした。



「しかも一番小さい実弾が当たってもBB弾が当たった、みたいな反応しかしないし…45口径の弾でも同じ反応だったらナトー弾使ってもギリギリ死なないかなって」


「外傷はさておき、衝撃で首の骨が折れでもしたら普通死ぬだろ」


「でも死ななかったじゃん?結果オーライって事で」



女の子が正当化するように言い訳を続けるので分身の俺がツッコむように指摘するも女の子はあまり反省してないような軽い感じで返す。



「ってか死なないどころかほとんどダメージ無かったじゃん?コッチは10発しかなかった超貴重な弾を使い切らされたのに」



…女の子は何故か愚痴を言うような感じで逆ギレするように分身の俺を責めるような口調になる。



「いや、そもそもそんな超貴重なものをサバゲーのようなスポーツ大会で使うなよ。使う必要あったか?」


「…無かった。結局ソッチ無視してても勝てたから試合後めっちゃ後悔したし」


「多分その時は俺、試合に加わらずにただその場で座って瞑想してただけだしな」


「あまりのレベルの差に驚いたよ。どんな化物の巣窟だ…ってビビってたのに、結局化物はソッチ一人で後の人達はただの人間だったし」



分身の俺の反論に女の子は肯定するようにその後の事を話し、思い出すように言うと女の子は当時の思い出を語り始めた。





ーーーーー





「お。五階層にオークか」


「オークは肉を落とさないの?」


「落とさないな」


「そうなんだ…豚が関係あるから落ちると思ったのに」



第五階層に降りた後に発見した魔物を見て分身の俺が意外に思いながら呟くと、女の子が確認してくるので否定すると残念そうな反応をする。



「基本的に人型で肉落とすヤツは少ねーんじゃねぇかな?俺が知ってるだけでもマーメイドとナーガだけだし」


「あー…なるほど…確かにいくら魔物でも人型から落ちた肉は食べたくないなぁ…」


「ナーガやマーメイドみたいに下半身の生物の肉なら見た目的にも問題ねぇけどな」


「確かに」



分身の俺の否定的な予想に女の子は納得して想像しながら嫌そうな顔で呟き、分身の俺が適当な感じで言うと賛同した。



「まあでもオークも身体の大きさに比べて顔が少し小さいからちょっと狙いづらいんだよね…しかもライフルじゃないとヘッショでも一撃じゃ死なないし」


「グッ…!」



女の子はまたしても嫌そうな顔をしながら呟くと拳銃を構えて魔物の頭部を狙って発砲すると見事に命中して魔物が倒れ…



女の子が倒れた魔物に近づいて頭にもう一回発砲して命中させると魔物が息絶える。



「マジでヘッドショット決めても一撃じゃ死なないんだな」


「多分骨が硬いから致命傷に至らないんだと思う。流石に二発目のダメージまでは耐えられないんだろうけど」


「まあ死なないだけで甚大なダメージである事に変わりはないし、逃げられなければ結局余裕で倒せるだろ」


「回復力も高いから一度逃げられたら次に戦う時には全快してるだろうね。今まで逃した事無いけど」



分身の俺の意外に思いながらの発言に女の子が予想を返し、分身の俺が楽観的な感じで言うと女の子はまたしても予想と体験談を話す。

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