青年期 295

「…あ、ダチョウだ」


「…あれ?このダンジョンの四階層はオークだった気がするけど…」


「でもアレダチョウだよね?」


「確かにどっからどう見てもダチョウだな」



…先に進んで第四階層に降りると女の子が魔物を発見し、分身の俺が不思議に思いながら呟くと女の子は魔物を指差しながら確認するので分身の俺は肯定した。



「…あっ、外した!」


「…この距離で避けんのかよ」



普通に近づいて4mぐらいの距離で女の子が拳銃を構えて発砲するも…



魔物は攻撃に気づいてなかったはずなのに野生の勘的なので察知したのか少し頭を下げて女の子のヘッドショットを避け、分身の俺は意外に思いながら呟く。



「グエー!」


「…ダチョウの頭は小さいからヘッショ狙いにくいんだよなぁ…」



女の子は嫌そうな顔で呟きながらも少し下がり、一気に距離を詰めてくる魔物にビビる事も無く冷静に肩にかけてる自動小銃を構えると魔物の足を狙って連射する。



「グエッ!」


「…流石に中級の魔物を一発で確殺はまだ難しいかぁ…」


「グッ…!」



魔物が足に銃弾を受けて倒れると女の子は拳銃で魔物の頭に狙いを定めながら呟き、引き金を引いてトドメを刺す。



「いやー、最初のアレを避けられるとどうしようもねぇな」


「スナイパーライフルで遠距離から狙わないと高確率で避けられるんだよね。でもダチョウとかの中級相手にライフル弾使うのは割に合わないし」



分身の俺のフォローするような発言に女の子はため息を吐いて返した。



「しかも普通の弾だと頭に当たっても急所じゃないと一発では死なないし」


「ダチョウは脳みそが小さいからな…そこが致命的な弱点で欠点なのに、ソッチからすればそのせいで仕留め損ねる…っていう面倒な状態になってるわけだ」


「致命的な弱点のおかげで致命傷を免れる…ってマジで『一長一短』を地で行く現象だよね」



女の子は仮に銃弾が当たっても…の体験談を話し、分身の俺が理解して納得すると女の子が微妙な顔でことわざを引き合いに出す。



「グエー!……グエッ!?グエー!…グエッ?」



魔物が分身の俺に攻撃すると少し経って飽きたのかそっぽを向き、振り返った後に棒立ちのままの分身の俺に驚いてまた攻撃を加えるも直ぐに飽きたかように周りを見渡しながら離れる。



「…なんかコント見てるみたい」


「ダチョウはアホだからな。いつもこんな感じよ」


「マジでめちゃくちゃ間抜けじゃん。自分の尻尾に驚いて飛び上がる猫もびっくりだよ」



女の子の感想に分身の俺が魔物をディスるように言うと女の子は微妙な顔でよく分からない例えを挙げた。



「グアッ?グエー!…グッ…!」


「…あっ!肉落ちた!肉!」



くちばしで激しく突いてくる魔物に分身の俺は貫手で心臓抜きをして倒すと魔物素材が落ち、女の子が肉に目を奪われてる隙に素早く魔石を空間魔法の施されたポーチへとしまう。



「なんで?私の時は落ちなかったのに…」


「…もしかして魔物が肉を落とす条件知らない?」


「え?…あなた知ってるの!?」



女の子は肉を拾った後に水筒の水で軽く洗い流して容器に入れてから不思議そうに首を傾げ、分身の俺が尋ねると驚きながら確認してくる。



「コッチでは常識になるぐらい有名だぞ。その方法が実際に出来るかどうかはさておき」


「そうなの!?」


「おう。魔物の核だけを狙って一撃で破壊して倒せば魔石以外の魔物素材が全部落ちる。もちろん肉も含めて」


「…ソレ難しくない?」



分身の俺の返答にまたしても女の子が驚きながら聞き、肯定して方法を教えてあげると女の子はなんとも言えない顔で返した。



「俺にとっては簡単だけど…まあ他に実践してる奴が居ないところを見ると難易度は高いんだろうな、やっぱり」


「…核を一撃で、かぁ…」


「多分銃弾では難しいと思う。核に当たる時に周りを傷つけて無駄なダメージが入るから、そのせいで落ちない気がする。まああくまで俺の予想だが」


「…そういえば今まで肉が落ちた事無いなぁ…」



分身の俺はサラッと自慢するように言って肯定すると女の子が難しそうな顔で呟き、予想を話すと思い当たる節があるかのような反応をする。



「もし銃弾で落ちなければ同じ理由で魔法強化された矢でも無理だろうよ」


「…その言い方だと、魔法強化されてないただの弓矢なら落ちる感じ?」


「落ちる落ちる。ソレは俺が実証して確認済み」



分身の俺が補足するように言うと女の子は少し考えて確認し、分身の俺は肯定して根拠を話した。



「…あなたは魔物の肉をめちゃくちゃ大量に持ってんだもんね…そりゃ色々と試してるか」


「剣でひと突きでも落ちるぞ。ただピンポイントで当てないと運次第になるが」


「そうなの?」



女の子の微妙な顔をしながらの発言に分身の俺が剣を使った場合を教えると意外そうに返す。



「おう。ちょっと興味があってどのくらいまで誤差が許されるか試したんだが…結果は今言った通り『ピンポイント』だから範囲はめちゃくちゃ狭い」


「えー、まじ?クリティカルみたいなもんかぁ…やっぱ普通の冒険者だと運次第じゃん」


「ま、そうなるな」



分身の俺が実験結果を教えると女の子は面倒くさそうな顔で呟くので適当な感じで肯定する。

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