青年期 242
…女の子が引き金を引くとほぼ同時に分身の俺の俺のふとももに弾が当たり、パスッという音がする。
「…おや、コレはゴム弾かな?」
「次は実弾を使う」
ほとんど痛みは感じずに当たった黒い弾が床に落ちるので拾って確認すると女の子は弾を込めて再度脅してきた。
「跳弾したら危ないって…」
分身の俺が優しさで注意しようとしたらまだ話してる最中なのに女の子が引き金を引いて分身の俺の太ももに弾が当たる。
「なっ…!」
「確かに当たったはずだが…!」
するとコロンコロンと床に弾が落ち、男達が分身の俺の無傷の様子を見て驚愕した。
「動かないで!」
「…こんな豆鉄砲でどうするつもり?」
分身の俺が落ちた弾を拾おうとすると女の子は銃口を向けて引き金に指を当てたまま牽制してくるが、分身の俺は構わずに弾を拾って指でつまんで見せながら煽る。
「次は脚ではなく頭を狙う。これが最後の警告よ、大人しく両手を上げて捕まって」
「嫌だ、と言ったら?…おうっ」
「…ぐっ…!?」
女の子の警告に分身の俺がニヤリと笑って反発するとコンッと額に弾が当たり、跳弾して分身の俺を囲んでいた男の内の一人に当たった。
「「「なっ…!?」」」
「大丈夫か!?」
「だから危ないって言ったのに…人の言う事聞かないから」
…肩を押さえてる男に他の男達が心配したように駆け寄り、分身の俺は呆れながら言う。
「くっ…!みんな、部屋から出て!コイツにはあの弾じゃないと…あの弾を使う事になるから!」
「ははは、弾の無駄だからやめといた方がいいよ。あの頃よりも今の俺は更に硬くなってるし」
女の子がリロードしながら男達に避難を指示し、分身の俺は笑いながら昔の話を持ち出して学生時の自分と比較するように返す。
「というか室内のこの距離だとスナイパーライフルの距離じゃなくない?…おうっ」
「えっ…!!??」
男達は負傷者を連れて急いで部屋から出て行き、二人っきりになったので分身の俺がふとした疑問を聞くとカンッ!と額に弾が当たり…
その後にバン!とうるさい銃声が聞こえて来たと思えば女の子が銃を下ろして呆然とした様子で呟いた。
「うーん…流石に対戦車ライフルの弾ともなると今の俺でもほんのちょっとだけど痛みを感じるか…」
「…あ…ありえない…!!嘘でしょ…!!?」
分身の俺が額を掻きながら呟くと女の子は愕然とした様子でリロードし、分身の俺に向けての発砲を数回繰り返す。
「…あーあー…弾がもったいないわ」
「ば、化物…!コイツ、人間じゃない!なら…!!」
見事な命中率で分身の俺の腹や胸に直撃するもほぼノーダメージに近いので、床に落ちる弾の数を見て呟くと女の子は後退りながら呟き…
背中が壁に当たるとまたしても弾を取り出してリロードすると分身の俺の胸辺りに狙いを定める。
「…これでもくらえ!」
「…んおっ!?」
女の子の発砲した弾が分身の俺に当たると同時に爆発し、予想外の事態に分身の俺はびっくりしながら思わず一歩後ろに下がった。
「…爆発する弾とは…炸裂弾…?徹甲榴弾だっけ?」
「う、嘘でしょ…!!あ、ありえない…!!あのドラゴンでさえ一撃で倒せる炸裂徹甲榴弾でさえ無傷って…!」
分身の俺が煙を払いながら弾の種類を思い出すように予想すると女の子は銃を手放して床にへたり込みながら愕然とした様子で呟く。
「…まあ当たりどころが良ければドラゴンでも一撃で倒せるかもな、確かに」
「…あなた…一体、なんなの…?」
分身の俺は弾の威力は十分だから心臓部に上手く命中すれば…と考えながら同意すると女の子が怯えた様子で聞いてくる。
「一応誤解してるようだから言っとくけど…流石に無傷では無いよ?まあちょっと痛かった程度だから軽いかすり傷みたいなもんだけど」
「…それはもうほぼ無傷と言って良いでしょ」
分身の俺の訂正に女の子は微妙な顔をしながらツッコミを入れるかのように返す。
「火薬の質が良くて温度…火力が上がればちょっとした火傷ぐらいは負うかもね」
「それじゃただの焼夷弾じゃない」
「あー…じゃあ無理だ。焼夷弾程度じゃただ火に包まれるだけだから火傷すらしないと思う」
分身の俺が爆発時の温度について改良点を挙げると呆れながら返され、分身の俺は諦めるように言う。
「…あなた、本当に一体どんなチートを…?」
「日々の鍛錬の賜物や努力の成果をチートとは失礼な。ソッチも似たような知識はあるんだから俺みたいにひたすら部位鍛錬に励めばこうなるよ」
「うーわ、出たよ…男子の好きな『部位鍛錬』とかいう格闘漫画のエセ知識。あんなのドMしかやらないでしょ」
ヒいたような女の子の問いに否定しながら訂正し、アドバイスをしてあげるも女の子はまたしても呆れたようにバッサリと切り捨てた。
「人をドM扱いするなんて酷くね?ってかちゃんとこうして銃弾も爆発も耐えられる、っていう結果が出てるんだからエセ知識じゃないし」
「…いつからやってんの?その部位鍛錬」
「えーと…5歳ぐらいから?」
「うっわ本物じゃん!真性?筋金入り?のドMだ!マジでそういう人っているんだ!」
「だから違ぇって」
分身の俺が訂正を求めるように言うと女の子は座り方を変えながら聞き、思い出しながら答えると…
女の子は立ち上がって分身の俺を指差しながらレッテル張りをしてくるので分身の俺は冷静に否定する。
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