青年期 241
「ははは!おもしれー女。いいね、いいよ、コレは面白い。めちゃくちゃ楽しい」
「そう?良かったね」
分身の俺が声を上げて笑い、女の子の駆け引きの上手さにテンションを上げると女の子は優位に立ったかのように余裕の態度で笑う。
「でも残念ながら的外れなんだ」
「…え?」
「やろうと思えば最初っから出来た、マジで。嘘偽りないガチなやつね、コレ」
「…じゃ、じゃあなんで…?」
分身の俺の否定に女の子の表情が変わり、メテオダイブを最初から出来た事を告げると女の子は困惑したように聞く。
「理由はいくつかあるよ。戦略的なやつと、気持ち的なやつと」
「…気持ち的な…?」
「そうそう。俺個人の…俺自身の考えとしてはいくら戦争とはいえ、なるべくなら人殺しは遠慮したくてね。楽しい人生を送る上で人に恨まれたり復讐の連鎖に取り込まれるのは勘弁願いたいものじゃん?」
分身の俺が軽く説明すると女の子が不思議そうな顔をするので笑いながら世間話でもするように自分の考えを少し教えた。
「それは…確かに、それが理想的だけど…でも、中継基地の人達はどうなの?」
「いやいや、殺してないよ?ちゃんと捕虜として捕まえてるし」
「「「なっ!?」」」「「はっ!?」」
女の子は困惑したように賛同や同意するように呟き、指摘してくるのでアッサリと兵達の生存を教えると男達が驚愕する。
「もったいないから物資も全部回収してから破壊してるからね。捕虜の兵士達は帝国が退却する時に解放するから安心して」
「…戦略的に考えるなら、やっぱり最初にやるべきで、なにか出来ない理由があったんでしょ?」
分身の俺が余裕を見せつけながら言うと女の子は少し考え、苦し紛れの粗探しのような…願望に近い揚げ足取り的な指摘をしてきた。
「ははは、やっぱり目の前の事しか見えてない」
「…どういう事?」
「最初に拠点で仕掛けた時の事を覚えてる?俺が名乗りを上げたやつ」
「最初…?…あ、そういえば…!」
分身の俺の笑いながらの指摘に女の子がまたしてもムッとしたように返し、思い出させるように聞くと女の子は不思議そうな顔をした後に思い出して呟く。
「あの時点で拠点を破壊したところで結局帝国側は諦めないと思った。だからあえて俺は逃げる振りをして君達を誘い込み、あとは退路を絶つだけで全滅しかねないという今の状況に追い込んだ…ってわけ」
「…わざわざ、国土を侵略されてまで…?」
「住民の避難は済んでるし、戦わずに逃げれば帝国の兵達は自分の拠点になる町を壊すわけが無いって分かりきってるからね」
「くっ…!我々はまんまとしてやられたわけか…!!」
「なんと言う事だ…!!」
分身の俺が作戦をバラすと女の子は悔しそうに仕返しをするみたいに返し、分身の俺は笑いながらの受け流すように説明すると男達も悔しがるような反応をする。
「戦う前に追い返してもまた来る事は分かりきってたから、いっその事コッチの被害を最小限にして勝とうかな…って」
「…だからってこんな馬鹿げた……分かるはずない…」
「まあ今回は俺が司令官だったから帝国側も被害は最小限で済んでるけど…普通だったら全滅でめちゃくちゃ兵を失ってたわけだからね。二度と魔法協会には戦争を仕掛けない方がいいよ?今度は多分帝国を叩き潰すためにコッチが攻めに行くかもしれないし」
分身の俺は今回の作戦に至った理由を話した後に落ち込むような反応をする女の子に笑いながら結構洒落になっていない警告をする。
「…!そうか!貴様が司令官ならば貴様を捕らえれば全て終わる!」
「そうか!馬鹿め!司令官がノコノコと敵前まで来るなど…!」
「逃すな!ここでなんとしてもコイツを捕らえるぞ!」
男達の一人がふと閃いたように言うと他の男達も賛同して分身の俺を囲むように素早く動き出す。
「ははは、嘘でしょ?マジでそんな事が出来ると思ってるの?」
「…手を上げて」
分身の俺が笑いながら余裕の態度で確認すると女の子はいつの間にかスナイパーライフルみたいな物を構え、分身の俺の頭に狙いを定めながら指示をする。
「…ほう?ソレはもしかしてスナイパーライフルってやつ?って事は…銃…鉄砲を広めたのは君、って事か。全く、余計な事をしてくれる」
「…!?…コレを知ってるんなら話は早い。どれくらいの威力かも知ってるでしょ?大人しく捕まってちょうだい」
分身の俺は意外に思いながら聞いた後に呆れながら肩を竦めると女の子が驚いたような反応をした後に脅してきた。
「残念ながらそれは無理。というか跳弾したら危ないからやめといた方がいいよ?」
「…私がこの距離で外すとでも?」
「俺が避けたら外れんじゃん」
分身の俺が拒否って優しさから注意するも女の子は強気で確認し、分身の俺は余裕の態度を崩さず笑ってツッコむように返す。
「私が人を撃てないと思ってる?」
「試してみれば?」
女の子の確認に分身の俺が笑いながらそう返すと女の子はすぐさま分身の俺の太ももに狙いを変えて引き金を引いた。
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