学生期 3

…自己紹介が終わると直ぐに授業が始まり、初日なのでとりあえず真面目に受けてみたが…



びっくりするほどあまりにも退屈過ぎる内容だった。



一日の半分を占める午前中いっぱいを使った魔法や魔物についての授業は、老師であるおじさんや先生であるお姉さんから昔に習った事の基礎も基礎の復習でしかない。



例えるなら数学まで進んでいる中学生が算数の足し算を習い直してるようなもの。



だけど、午後の授業の歴史や経済学は意外と面白かった。



…しかし経済学といっても教科書を見る限りでは複雑で専門的なモノではなく、あくまで基礎の触りの部分しか扱ってないようだけども。



…まあそんなこんな学校での初日も終わり、クラスの人達と一緒に寮に行ったのだが…



なんと、廊下に張り出されてる部屋割りの中に俺の名前だけが無かった。



「…すみません、俺の名前が無いんですが…」


「…え?そんなハズは…クラスと名前は?」


「『一般クラス』の『リデック』です」


「リデック、リデック…」



寮の受付のような所に居たお兄さんに聞くと所属と名前を尋ねられたので、そう答えたらお兄さんは書類を取り出して確認してくれる。



「…ああ、どうやら君は別の棟みたいだ。たまにあるんだよ。生徒数が多くて何人かは君みたいに別の所の部屋に割り当てられる事が」


「あ、そうなんですか。ありがとうございます」


「コレが君の部屋の番号。鍵とかは部屋の中に入ってるハズだから」


「ありがとうございます」



…どうやら人数と部屋の関係で俺だけ別の場所らしく、理由を話してくれたお兄さんにお礼を言うと場所の書かれた紙を渡してくるので俺はもう一度お礼を言って受け取った。



「…おお…」



俺が渡り廊下を通って指定された棟に行くと…



なんかさっきの普通のアパートみたいな寮の建物とは違い、凄い豪華な感じの高いマンションみたいな広い建物になっている。



「202ってことは二階か?」



受付のようなカウンターを通り過ぎて奥に行くとドアに『101』『102』というプレートがあるので俺は階段を登って二階へと上がった。



「おっ」



すると階段に近いところでドアに『202』というプレートがあり、表札の所に俺の名前が貼られている。



「…ラッキー。こんな広い部屋で、しかも一人部屋って…最高だな」



部屋の中に入ると軽く2LDKはありそうなぐらいの広さだったので俺は幸運に思いながら呟いた。



「さーて、夕飯は何にしようか…ん?」



とりあえずソファに座って落ち着きながら飯について考えてるとガチャ…と、ドアが開く音が。



「あれ、兄さん早かったね」


「エーデル?よく俺の部屋が分かったな」


「私も居ます事よ、お兄様」


「リーゼまで」



弟はまるで家に帰宅するかのような気軽さで入ってくると後ろから妹も顔を出す。



「俺の部屋を見学に来たのか?」


「あれ?もしかして聞いてない?僕も今日からココに住むんだけど」


「…は?」



俺の問いに弟が不思議そうに言うので俺は状況が理解できずに聞く。



「ココは中等部にも近いし、本当はリーゼと向かいの部屋に移動する予定だったんだけど…リーゼが相部屋を嫌がってね。兄さんがちょうど一人部屋な事もあって僕と相部屋になった…ってワケ」


「だって女性は荷物が多いんですもの。空間は広くないと」



弟が俺と相部屋になった理由を説明すると妹が一人部屋を志願した理由を話した。



「まあこんな広い部屋に一人は落ち着かないから別にいいけど」


「流石兄さん。兄さんならそう言ってくれると思ってたよ」


「感謝しますわ、お兄様」



俺は内心ちょっと残念に思いながらも兄としての器を見せるために了承すると弟と妹が喜んだ。



「僕はちょっと荷物の件で出るから。夕飯の時間までには戻るよ」


「私は部屋の確認に行って来ます」


「分かった」



すると弟と妹はそれぞれ軽い用事かなんかで部屋を出て行く。





ーーーーーー






「…ただいま」


「おかえり」


「今から荷物が来るから…その間に夕飯を食べに行かない?」


「そうだな…行くか」



だいたい夕飯の時間になると弟が帰宅してきて夕飯を誘ってくるので俺はありがたく受ける事に。

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