第8話 破瓜

「ゴムなしのほうが痛くないよ」

「そうなんですか、でも」


 杏子が悩むのもわかる。荻野式は確実ではないのだ、特に初めてのセックスというような状況の場合、排卵周期がどうなるかはわからない。


「基礎体温なんて記録してないよね」

「あ、なんか昔に習ったような。すいません計っていません」


杏子は申し訳なさそうにしょげた。

「謝る必要なんてないよ、ちゃんとゴムつけるから。なるべく痛くないようにするから、何でも俺の言う通りしてくれる」


「はい、お願いします」

杏子の顔は一気に明るくなった。


じゃあ、一緒にシャワーを浴びよう。


お互いに洗いあい、じゃれることで杏子の警戒心は完全になくなっていた。

亮の求めるままに、亮のものをおずおずとくわえている。


もちろんうまいわけはないが、処女になめられているというだけで、気持ちは昂る。

「俺の顔の上に乗って」


 杏子は恥ずかしがったが、亮は「約束でしょ」と、押し切った。

 

 最初はくすぐったそうだった杏子も次第に喘ぎ声をあげるようになった。


 


 雌の匂いが濃く漂いはじめている。亮の唾液だけではないもので、すでにぐしゃぐしゃだ。


 杏子の体をひっくり返し体の上下を入れ替えた。

 


「ひーっ、い、痛い、痛いです」



「すぐ痛くなくなるから」

亮は杏子の腰をがっちり抱え込んだ、逃がすつもりはなかった。



 押し広げていく。


 処女膜にはいろいろな形があるらしいが、杏子のそれはやや幅のある輪ゴムのようなものだった。


 


 杏子には聞こえていなさそうだった、ひーひーと細い呼吸を繰り返している。亮は少し悩んだが、自分だけ行くことにした。出さないのも悪いだろう、という自分勝手な考えだ。


「い、痛いです、もう少しゆっくり」


杏子の中に熱いものを大量に放った。

コンドームは使わなかった。


シャワーの間に生で入れるということなってしまった。


「終わったんですか」

 杏子がようやくといった感じで体を起こした。


「シャワー浴びようか」


「もう一回今度はここでお願いできますか」


 結局、杏子は亮のものを三回受け入れた後で、亮の腕の中で眠りについた。

 朝、亮とは新宿駅の改札で別れた。


「ありがとうございました。嬉しかったです」

それが、杏子からの最後のメールだった、それ以来、杏子からメールはなく、亮からメールをすることもなかった。


 


 


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