第15話 もっちゃ


 せっかく着替えたので買い物に行く。

 ついでに不動産屋にでもよるか?

 最近は家でブラックスミスの制作を使った色んなものを作っている。

 最初はコップなんかを作ったりしていたが、最近は指輪やアクセサリーを作って楽しんでいる。


 ミスリルなんかを加工したいがどこにあるんだろ?


 やっぱりダンジョンかな?


 ダンジョン産の素材も加工出来るためそのための道具を作る。材料はショップから購入した。結構腕はいい方だと思う。

 デザインは基本シンプルなのにしているがやはりこだわりたくなって本屋に来ている。

 その為の本を何冊か買い、あとはいつものようにブラブラと買いだめをしていく。


「タクト?」

「あれ、チエリどうしたの?」

「あぁ、ここ私の家なの」

 老舗の和菓子店だ。

「へぇ、ここが家なんて凄いな」

「甘いもの好きなの?」

「俺は元々太ってたんだ、その原因は甘いものだと俺は思ってる」

「あはは、そうなんだ、よかったら寄ってく?」

「あぁ、んじゃ寄らせてもらうよ」


「あ、こっちじゃなくて私の部屋の方」

「あはは、おばちゃんに叱られちゃうよ、和菓子も買い溜めしときたいからさ」

「もう、いいのに」

 和菓子は見てるだけで幸せになるなぁ。

 あまり負担にならない程度に買い溜めして金を払う。

「何してたの?」

 店先の椅子でお茶をご馳走になりながら和菓子を摘む。

「ん」

「これは本?デザインの?」

「んぐっ、最近はアクセサリーを作るのが趣味でさ」

「へぇ、どんなの?」

「こんなのとか」

 インベントリから作ったやつを取り出す。

「あ、シンプルで可愛い」

「良かったらやるよ」

「いいの!えー、どれにしようかなぁー!」

 付与もできるし普段使いにも良いだろう。

「これにする」

 三連リングのネックレスだ。

「ほい、付与は何かつけるか?」

「じゃあクリーンで」

「あいよ」

 軽魔法のクリーンを付与する。

「はいできた」

「つけてください」

「おう」

 ネックレスを着けると似合っている。

「似合うかな?」

「似合ってるよ」

「えへへ」

 俺は大福をペロリと平らげると立ち上がる。

「んじゃまたな!」

「はい!ありがとう」

 チエリと別れてまた街をぶらつく。


 たこ焼き屋で十パックも買うのは俺くらいだろうな。

 インベントリがあるからできることだ。


 服もそれなりに買ったし、ぶらつきながら家に帰る。


「あ」

「あっ!何してやがる」

「はーなーせーよー」

 レイナが俺の部屋を覗いてたのだ。

「なにしてたんだ?」

「黙秘権を」

「そんなものない」

「ただ帰ってきてないなぁって思っただけだよ!どこ行ってたの?」

「あぁ、これ土産」

 インベントリから和菓子を渡す。

「きゃー、和菓子だ!」

「チエリの家が和菓子店だった」

「む!浮気だ!」

「じゃあいらないか?」

「いる」

 どっちなんだよ。


「ふーん、街ブラしてたらチエリに会ったんだ。で和菓子を買ってきたと」

「そうだ」

「もっちゃもっちゃ」

「口閉じろ!わざと鳴らすな」

「ふん!浮気者!」

「なんとでも言え。あ!後枕返せよ」

「新しいのがあったでしょ?あれはもう私の枕になりました」

「くっ!この馬鹿タレが」

「なんとでも言え」

「真似すんな!」


 次の日、

「あらこの前はウチで買い物してくれてありがとねー」

 おばちゃんが寄ってくる。

「いや。和菓子好きなんでつい寄ったらチエリの家だっただけですよ」

「そうなの?チエリがすごい喜んでたわよ」

「あははは、それは嬉しいですね」

「ネックレスもらったんですって?」

「手作りのですけど、入りますか?」

「いいわよ!チエリになにされるか分かったもんじゃないわよ」

 おばちゃんが震えている。チエリは何をするんだろうか?


「レイナは貰ってない!」

「あげてないからな」

「レイナは貰ってない!!」

「わかったよ、やるから。どれが良い?」

「んー、これ可愛い!」

 縦型のペンダントヘッドのネックレス。

「んじゃ付与はクリーンでいいか?」

「うん!」

「つけて」

「はいよって、前のネックレスもしてるじゃないか」

「んじゃ、これはとって」

「はいよ、これでいいか?」

「うん!」

 鏡を見て頷くレイナ。

「ほんと女泣かせだよ」

「おばちゃん、俺だって泣きたい時もあるんだよ?」

「あんたも大変だね」

 おばちゃんにたこ焼きを差し入れいたらチエリと合流。

「あ!レイナさんも貰ってる!」

「さっき貰ったんだ!」

「あ、じゃあ一番は私だ!」

「………タクト!指輪が欲しいぃー!」

「あっ!じゃあ私も!」

「だぁー!やめろ!引っ付くな!引っ張るな」


 指輪は作ってあるが出さないでおこうと決めた。

「そのはめてる指輪でもいいよ?」

「これは付与されてるからダメー」

「けちんぼ!」

「けちんぼ!」

「二人して言うなよ」

 本当に二人とも仲がいいな。


 んじゃ先に行こうかな。

「あ、待ってよ!」

「置いてかないで下さい」


 俺たちはダンジョンに入る。

 浅草ダンジョンは今日も平和である。

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死にかけた豚ポーターは深層から這い上がる〜痩せてイケメンになったがメンヘラはいりません〜 あに @sanzo

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