第5話 ランク
あれから毎日ダンジョンに入っているので、Eランクに上がった。
ダンジョンのランクはそれなりのギルドへの貢献と試験に合格すればランクが上がる。
ギルドへの貢献とは魔石の買い取りだな。魔石エネルギーが活用されてから魔石不足が深刻化してるからな。
「藍沢君、いつもありがとう」
「いえ、ゴブリンの魔石ばかりですけど」
「いいのよ。チリツモよチリツモ!大量に持って来てくれるからありがたいの」
カウンターのおばちゃんに有り難がれてもね。
「はい、ありがとうございます」
「藍沢君はイケメンだし、私の娘なんてどうかしら?」
「はは、まだ結婚なんか考えてないんで!それじゃあ!」
「あぁ、逃げられたか」
聞こえてるよ!それにしても、ようやく軌道に乗って来たな!
「着々と貯金は増えてるし」
上層だけでもソロで大量に狩れば貯金出来るくらいには儲かる。それで良いんだ。
あれからレイナも見なくなったし、冒険者としてステップアップも出来ている。
「よし。今度の試験も合格しよう」
♦︎
「レイナ、分かったぞ」
「やっと?」
レイナは男に対して冷たく言う。
「しょうがないだろ?あいつが速すぎてついて行くのがやっとなんだ」
「で?なんだった?」
男は溜息をついて、
「火龍の豪剣」
「やっぱり深層の火龍がいなかったと思ったらそうだったんだ!」
レイナは椅子から飛び上がるとタクトの写真にキスをする。
「やっぱり貴方には私が一番合ってると思うわ」
男はうんざりした顔でレイナを見ると、
「雑誌の取材が入ってるからいくぞ?」
「えー、また?もう断っていいのよ?」
「ダメだ、ファンクラブもあるのにレイナの露出が無くなるのはファンを裏切る行為だぞ?」
「私のダーリンが決まったのに?」
「まだダーリンじゃないだろ?」
「もう、近いうちそうなるんだから!」
「それまではみんなのレイナ様でいてやれよ」
「はぁ、これならSランクになんてなるんじゃなかった」
レイナは肩を落として写真を見つめる。
「ダーリン、行ってくるね」
♦︎
「うー、寒気がしたが気のせいか?」
俺はDランク昇格試験に合格し、いまから中層に行くところだ。やっと一端の冒険者と言ったところだな。
走って中層に着くとホブゴブリンやハーピィなどを狩っていく。やはり中層になると魔石やドロップも増えるな。
中層からは罠があるので注意して進むが罠探知があるのですぐに分かる。
「シーフになっといて良かった」
もうとっくにシーフのスキルツリーは解放しているし、剣士も同じだ。今は、
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レベル30(113 ) 職業 暗殺者(魔術師)
力 D(SS)
体 E(SS)
速 D(SSS)
知 D(SS)
魔 D(SS)
スキルポイント 570
スキル 軽魔法 四大魔法(火、風、土、水) 重量軽減 罠解除 鍵開け スラッシュ (ダブルスラッシュ パリィ ため斬り グランドクロス 罠探知 索敵 ドロー マップ 隠蔽 クローキング 投擲 バックアタック )
ユニーク (インベントリ 宝箱探知 剣装備時力30%UP 第二職業解放)
称号 (起死回生 ドラゴンキラー)
()内隠蔽
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こんな感じだ。隠蔽してあるから俺のレベルは三十ってことになっている。
クローキングを使ってモンスターには見えないようになり、背後に周りバックアタックをする。良い短剣が欲しいが高くて手が出ない。
まぁ、まだまだ冒険者としては新米だからしょうがない。
あれから一月でCランクにまでなってしまった。こんなに早くて良いのかな?
相変わらず浅草ダンジョンだが、下層まで足を伸ばしている。ダンジョンの宝箱からゲットした短剣を装備してレベル上げと金稼ぎをしている最中である。
さすがに下層と言うべきか、ミノタウロスやヒュドラなんかも出て来て厄介だが、魔術師から商人に変更したので鑑定すると、レベルは五十付近なので楽勝なんだけどね。
「深層はまだまだかな?いけそうな気もするけど安全第一!」
下層でも十分戦えるのでそれで満足している。
おばちゃんの娘さん自慢を躱してギルドを出る。コンビニによると雑誌の表紙はレイナだ。こう見ると綺麗なんだが、性格が難ありなんだよなぁ。
♦︎
「まだなの?」
「まだです。当たり前でしょ!まだCランクですよ!これでも早いほうです」
レイナは八つ当たりのようにモンスターを叩き斬る。
「だってSランク同士じゃなきゃパーティー組めないじゃない!」
「べつにAランク辺りになったらもう一度誘ってみたら良いじゃないですか?」
「そ、そうよね、一つしか変わらないものね」
男はご機嫌をとりながらレイナについて行く。
「ルンルルンルル〜」
深層でモンスターを鼻歌まじりで倒して行くことに恐怖を感じながら男は思った。
好かれた男は不憫だと。
♦︎
また寒気がした。最近多いな。
「まだ夏だって言うのに」
最初に卵からゲットした指輪三つとカードは、指輪が焔の指輪、力の指輪、魔力回復の指輪だった。カードがショップカードというものだった。
商人のスキルツリーを解放して行くとショップ機能が使えるようになり、そこで使えるカードだったらしい。
「ショップが使えなかったら意味ないじゃん」
使える俺だからいいんだが、ショップを開くとネットショップのような画面が浮かんでそこにカードを差し込むと残高が百万ゴールドになった。
一応通常のお金も使えるようで、一円=一ゴールドだから百万円分のカードだ。
火龍の豪剣を検索すると五百万ゴールドだったのでそれなりにレアなことがわかった。
普通の鉄の剣が百ゴールドだったり、値段設定がわかりづらいが、普通の店舗で買うよりも安いことがわかる。
「普通の店舗だと火龍の豪剣なんて扱ってすらないからな」
これで一儲けできるが、他のやつがやるだろうと思って俺はやらない。
やらなくてももう金に困ってないからな。
逆にショップにお金を払って買い物しそうだ。
「ふぅ、久しぶりに風呂溜めて入ったからスッキリしたな」
昔の俺だったら風呂溜めるのにそんな時間はかからなかったんだが、なんせ痩せたから風呂の水は多く入れなくてはいけない。
「これは風呂に入るのはやめて銭湯にでもいくかな?」
インベントリがあるからいつでも入りに行けるしな。
俺の部屋は生活感がない状態だ。全てインベントリに収納してるからな。
金も溜まって来たしもうちょっと良い部屋に住んでも良いがめんどくさいしいいか。この部屋は気に入ってるしな。
テレビをつけるとレイナが出ていた。相変わらず外面はいいんだけど、危ない匂いがするんだよな。俺はザッピングをしながら夕食の準備、と言ってもインベントリから出すだけだが、今日は牛丼特盛おしんこセットだ。
「俺はこのままCランクでいいかな」
これ以上あげるとなんか危ない気がしてならない。
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