第2話 豚


「おい豚、ちゃんとついて来いよ」

「は、はい」

 ようやくパーティーにいれてもらえたんだから役に立って次も入れてもらわないと。

「豚は可哀想だよ。子豚くらいにしてあげないと」

「別に好きでいじめてるわけじゃねぇよ、遅えんだよ」

「まあまあ、Fランクですし大目に見てあげましょうよ」

「そうだな」

「チッ」

 パーティーは上層をクリアして中層へ。


「やっぱこの辺じゃないと歯ごたえがないよな!」

「まぁね」

「おら、早く来いよ」

「は、はい」

 Fランクは中層への出入りを禁じられている。だが、荷物持ちの俺が戦うわけではないのでついて行くしかない。

「おら!かかって来い!」

「サンダースピア」

「ちょ、ちょっと多いって!」

「口より手を動かせ!」

「サンダーアロー」

 どんどんモンスターは増えて行く、あっという間に囲まれてしまった。

「イレギュラーかよ!」

「どうすんのさ」

「やるしかないだろ?!」

「とりあえず逃げ道を作るぞ」

「おう!」

 だが健闘虚しく中央の大穴へ追い込まれた俺たちは崖下に落ちて行くこととなった。


「うわあぁぁぁぁぁぁ」


 俺はベットから飛び起きる。

「はぁはぁはぁ」

 そうか、あの時はモンスターに襲われて下に落ちていったんだ。


 ペットボトルの水を一気に飲むと心を落ち着かせる。

 昨日はシャワーを浴びてそのまま寝たんだっけ。それにしても、よく生きて帰ってこれた。

 レイナ様は暴走を食い止めるためにあのダンジョンに入ってきていたらしい。


「レイナ様が来なかったら…」

 俺は死んでたかもしれないな。

「はぁ…」

 顔を洗いに洗面所に行くとやっぱり昨日見たのと一緒で自分が痩せているのに驚く。

「うわっ。やっぱり慣れないな」

 腹も割れてるし、服もブカブカだ。

「着れる服あるかな?」

 体重計に乗ってみると65kgだ。元が110だから45kg減ったな。

 身長は170からそんな変わらないと思うがすこし見え方が変わったように思える。猫背だったからかな?


 そんなことを考えながら朝飯の準備をして飯を食う。

「あ、そうだ、昨日のドロップ品をどうしよう」

 パーティーメンバーは全員いないから俺のものでもいいと思うが、本当にいいのか?

「まぁいいのかな?」

 俺も死にかけたしな。


「にしてもでかいリュックだよなぁ。これがあったから助かったんだけど」

 俺はリュックの中身を出し始める。

 タオル、水筒、コンドーム?

 …なにダンジョンに持ってきてんだよ。

 あとは服、ポーション、ピッケル?

 こいつが重かったのかよ。ピッケルなんか使わねぇだろ!

 あとはドロップ品と魔石に剣。


「剣は使うとして、ドラゴンの魔石は簡単に持っていけないよな」

 倒したなんて言ったって信じてくれないだろうし。とりあえずドラゴン以外の魔石と素材は売っていいだろ。


 服はどうしようもないよな。

 ギルドに渡すか。

 リュックに詰めなおす。


「後はステータスだな。色々とおかしな事になってるし」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

藍沢 拓人アイザワ タクト 十八歳 ハイヒューマン

レベル112 職業 ポーター(無職)

 力 S

 体 S

 速 S

 知 S

 魔 S

スキルポイント1120

スキル 軽魔法(トーチ ウォーター ホール クリーン)重量軽減 罠解除 鍵開け

ユニーク インベントリ 第二職業解放

称号 起死回生 ドラゴンキラー

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 レベルがありえないくらい上がってるし、


『インベントリ』…容量無限、時間停止、生きているものは入らない次元倉庫。

『起死回生』…体力90%以下になった際オールステータス二倍。

『ドラゴンキラー』…ドラゴンに対しての攻撃力二倍。


「うむ…チートだな」

 俺はそっ閉じして忘れようと思ったが、インベントリって楽じゃね?と思い、リュックをインベントリにいれるとすんなり入った。

「うお、この丸い穴がインベントリなんだな」


 たしかスキルツリーが解放したとか?

 もう一度ステータスを呼び出す。

 職業欄をタップすると、

『剣士』『拳士』『騎士』『竜騎士』『探索者』『冒険家』などの職業がずらりと並んでいた。

 これはどうしたもんかね。普通は一つしか選べないのに二つも選べるなんて。

 ポーターのスキルツリーはインベントリまで解放され全解放してるから他のにしないとな。

 とりあえず剣士を選んでおこう。

 力と体がSSになった。 

 第二職業は斥候職のシーフでいいか。

 速と知がSSになった。


 さてと、これでスキルを取っていく。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る