恋のライバル

ある日のこと。

「ねぇ、歌恋聞いた?海人君に猛アタックしてる先輩がいるんだって。」

「えっ、そうなの?」

「なんか、海人とLINEを交換したり、一緒にでかけたりしてるらしいよ。恋のライバルだね。」

「海人に聞いてみる。」


その日もたまたま、恋愛相談をする予定だったため、海人と会うことができた。私の恋愛相談が終わったあと、

「ねぇ、先輩と付き合ってるの?」

と聞いてみた。すると、

「いや、まだ友達だよ。」

「そっか。ちょっと聞いてみるけど、先輩が告白してきたら付き合う?」

「付き合うだろうな。断る理由ないし。どうかした?」

「いや、なんでも無いよ。付き合えたらいいね。」

「歌恋もな。」

と頭をぽんっと撫でて海人は教室から出ていった。ドアの閉まる音が響く。鼻の奥が甚くなり、目に水がたまる。  

「海人のバカ。私が好きなのは。」

海人なのに。でも、最後まで届かなかったなぁ。


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