閑 話 仮説⇒実験

 夕方、ルシフはレイ姉とアイと共に庭で遊ぶのが日課となった。そんなある日のこと。


「パパ」

「どうした? クレオ」

「ちょっと、実験したいことがあって」


 ◇


「なるほどね、その仮説は面白いね」

「たぶんマイナスにはならないと思うんだけど」

「じゃあ、ルシフにお小遣いをあげよう」


 ◆


「ルシフ」

「なーにー、パーパ」

「これ銀貨って言うんだけど、お小遣いとしてあげるね」

「ありがとうー、パーパ」


 ◆


 一ヶ月後


「ルシフ」

「なーにー、クレにー」

「お兄ちゃんと買い物に行こう」


 ルシフは目をキラキラさせて、


「うん、いくーー!」


 ◇


「ルシフ、これね、富くじって言うんだけど」

「うん!」

「買ってみるか?」

「わかったー、クレにー」


 ルシフは真剣に選び。


「これくださーーい」


 ◆


 一ヶ月後


「クレオの仮説通りだ」


 そこには白金貨三十枚当選の富くじがあった。


「クレオ」

「何、パパ」

「これ、サナには絶対内緒な、ろくなことに使わないから」

「わかった。サナだけでなく、誰にも言わないよ」

「あとね」

「うん」

「これ、子供たちを救う団体に寄付していいかな?」

「いいと思う。仮説証明の実験だったからね」


 ◇◆◇


 二ヶ月後。キロンパパママの部屋でクレオブロスはキロンパパに相談した。


「パパ」

「実験だろ?」

「うん、今度はルシフにポーションを作れるかどうか」

「そうか、僕は関わらないよ」

「えっ」

「クレオ自身がやってみて、自信を持てば、自分で研究できるようになるから」


 ◆


「ルシフ」

「なーにー、クレにー」

「この瓶の中は水なんだけど、ポーションに変えることできる?」

「ぽーしょん?」

「飲むと回復して、かけると傷が塞がる水だよ」

「わかったー」


 瓶がルシフの手に渡ると、光輝き始めた。


「ルシフ、ありがとう。いい子だ」


 そう言って、クレオブロスはルシフの頭を撫でてる。


「えへへ」


(ポーションになっているな、純度の高い。これ困っている人を救えないかな…… そうだ!)


 ◆


「お久しぶりです。クレオ兄さん」

「ヒロ、よく来てくれた、上がって」


 そして、二人はクレオブロスの部屋に行く。


「ヒロ、ポーションについて商談しようと思っているんだ」

「はい、ちなみに種類は?」

「ポーションとハイポーション、こっちで作るから、その供給量の相談も兼ねてね」

「わかりました。それで、利益の方は?」

「売り上げを困っている人達に寄付したい。それが目的だし」

「わかりました」

「それでね、市場価格の変動のない、供給量にしたいと思っているんだけど」

「そうですね。一週間で、ポーションは数十本、ハイポーションは三本くらいですかね」

「わかった。念のため、少なくするよ。ポーション八本、ハイポーション二本くらいかな」

「大丈夫だと思います」

「じゃあ、安息日の次の日に納入でいいかな?」

「はい、こちらから伺います」

「ありがとう、そうしてくれると助かるよ」

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