第16話 幼馴染とパーティーメンバー

 俺の初めてのパーティーは剣士剣聖魔女商人魔女ギャンブラーというメンバーで構成され。ギルドでも目立つ存在となった。

(魔女がいるのに、魔法が使えないってクレイジーだよね)


 そして一ヶ月を過ぎ、わかったことがある。ヒロは魔石や魔獣の革など、どうやったら高く売れるのか、その方法を追求するのが楽しいみたいだ。そしてサナはそのお金を気兼ねなく使う。そう、二人の間には好循環が生まれている。そして俺にはまったく、


 メリットが無い。


 むしろ取り分が減るのでデメリットでしかない。


「という訳だ。俺はパーティーから抜ける」

「えー、ボク困ります。もっと学びたいです」

「ちっ、せっかくの金づるが」

(本音でてるよ。サナ)


「なんで、なんですか? ボクらの他に良い人でもいるんですか?」

「そうよ。アタイより美人なんて、そうそう居ないわよ」

(サナ、自意識過剰すぎるぞ)


 キロンの顔が浮かぶ。


「いるぞ。お前らより、いい奴がな」


「「キラーン」」


「その子、ボクに会わせてください!」

「教えなさい。どこにいるのか?」


 二人は矢継ぎ早に、いろいろ聞いてきて、俺は困った。


「わかった。わかったから」

「じゃあ、会わせてくれんですね」

「やったー、新しい金づるが見つかるかもしれない(ワクワク)」


 そして、二人を連れて、王都にある実家へと帰った。


 ◆


「ただいまー、親父」

「おう、随分早かったなぁ、アーク。ところでそこにいる変人とクレバーな奴はなんだ?」

(親父、よくわかりましたね。初対面なのに)


「お初にお目にかかります。ボクはヒロと申します。アークさんには大変お世話になっております」

「アタイはサナ、よろしく」

(ぶっ飛ばすぞ、てめぇ)


「あっ! アーク!!」


 キロンが抱き着いてきた。


「もう、勝手にいなくなって、寂しかったんだからね」

「あぁ、悪い、どうしても自分磨きがしたくてね」

「ホント、もう勝手に行かないでよね」


「「キラーン」」


 二人はキロンに近づき、


「初めまして、ボクはヒロ。友達になってください」

「アタイはサナ。よろしくね」

「えーっと、私はキロンです。治癒師をやっています」


 この後リビングで三人は楽しく喋っていた。


 ◆


 三人のお喋りは、なかなか終わらない。割り込むように親父が、


「おう、二人とも、宿屋に泊まるんだろ。だったらそこの部屋空いているから泊まっていけ」


 キロンの案内で二人は部屋の中へ、


「すごい、丁稚奉公みたいで、ワクワクします」

(ヒロ、お前の感性すこいな)


「随分と狭いのね」

(サナ、宿屋に行け)


 ◆


 翌日


「私も行きたい!!」


 俺らのクエストに、キロンは同行したいと言ってきた。キロンママは反対したが、キロンパパが「経験も大事だよ。僕も行くから」と説き伏せていた。

 そして、四人プラス保護者二人でクエストを行うことに。


「おう、てめぇら。俺の言うこと聞け。なければ、ぶっ飛ばす」


 そう、爺ちゃんもついてきてくれた。回復魔法使えるからと。


 クエスト中、魔獣に遭遇、戦闘へ。ヒロはいつもの様にポーションを準備し、ポーター荷物持ちの役。サナは石を拾い、投擲する。

(これが、魔獣の目によう当たるんだわ。ホームランもあるけど)


 キロンは、


「ファイヤボール」

「アイシクルランス」

「ホーリーアロー」

「フレイム」

(うん、凄いね、治癒師じゃないね。キロンパパのウラガネの意味がわかったよ)


「キロン凄いね!」

「えへ。パパがね、あとフローズン、ホーリーライト、ハイヒール、キュアの四つ覚えなさいって。頑張ったんだぁ」

(強ぇよ、キロンパパ)


 クエストの帰り道。キロンパパが「向こうに生態反応がある。みんなで行こう」とみんなでその場所へ行った。

 着いてみると、そこには有翼人の子供が倒れていた。爺ちゃんのハイヒールで傷を治し、キロンパパがこの子は絶対に保護した方がいいと、家に連れて帰ることにした。


「ちょっと、僕、研究室に行って調べてくる」


 そう言って、キロンパパは職場へと向かって行った。


 ◆


 家に帰り、事情を話したら、レイ姉とアイが風呂場に連れていき、体を綺麗にしてくれた。

 部屋でその子を休ませ、今日の課題についてミーティングをする。


「はっきり言って、お前ら二人はいらない。代わりはいくらでもいる」

(爺ちゃん、昨日会ったばかりの奴に、その辛辣な意見は……)


 二人は爺ちゃんの圧で俯いている。


「爺ちゃん、二人とも頑張っているから……」

「そうか? 足を引っ張っているようにしか見えないぞ」

(はい、そうです)


「お爺ちゃん、私は?」

「そうだな、キロンは威力にムラがあるから、制御することを覚えた方がいい」


「爺ちゃん、俺は?」

「知らん、見てない」

(爺ちゃん、俺泣きますよ)


 そこにキロンパパが戻ってきた。


「ちょっと、全員集まってもらった方がいいな。そこの二人を除いて」


 家族みんなが集まっている最中、キロンパパはその子の様子を見に行った。ヒロとサナが部屋に戻り、みんなの前でキロンパパが、


「みんな聞いてね。古い文献で調べたんだけど、あの子は」

(あの子は?)


「堕天使だ」

(へっ!)


「たぶん名前が無いからルシフって呼ぼう」

(いや、凄いことになってますよ。キロンパパ)


 こうして、キロンが同行したクエストは、半端ないこととなった。

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