第4話 ルイとパーティーメンバーと
遠征から帰ってきて、俺はやりたいことができた。いつ死ぬかわからない。後悔しないため、ルイに会っておこうと。
(ここか)
学園に入り、一番人通りの多いところでルイを探す。
「見つからないか……」
夕方まで粘った。
「はぁ、今日はしょうがないか」
ぼーっとしていると、向こうから手を振りながら女の人がやってくる。笑顔で。
「レオーン!」
「えっ」
飛びついてきて抱きしめられた。
「会いたかったよー。レオン」
「えっ、ルイ?」
「そう、ルイ。会いたかった」
「お前……、女だったのか?」
「そう、適性の儀も、レオンに分かるような、恰好をしてた」
「えっ、じゃあ」
「そう、胸もきつく縛って、私じゃないって思われないように」
「驚いたよ」
「えへ、小さい頃、女だと分かると一緒に遊べないと思って」
(マジ、超かわいいじゃん。これからは一緒に遊ぶってデートじゃん)
「そうだったのか」
「ごめんね。ずっと黙ってて」
(許す! かわいいから許すとかじゃないよ。ルイだからだよ)
「そうか、いろいろ話したいから、飯でも行くか?」
「もちろん、行く!!」
◆
「いや、綺麗な人が近づいて来るから驚いたよ」
「うん、綺麗になるよう。頑張ったんだぁ」
二人で食事を取りながら、近況報告をする、
「実はね。明日から学年末の休みなの」
「じゃあ、一息つけるね」
「そう。でもレオンが冒険者になっているとは知らなかったよ」
「あぁ、そう剣士だってわかってから活動し始めたよ」
「どうなの、活動は?」
「先週ダンジョンに潜ってた」
「そうなんだ」
「結構、危険だったよ、判断を間違えると死ぬよ。実際いくつものパーティーが全滅してた」
「えっ」
ルイは持っていたフォークを落とす。
「馬鹿。何してるの、馬鹿!」
ルイの目が潤んできた。
「レオンがいなくなるなんて、私、嫌だよ」
「ご、ごめん」
(そうだよな。唯一の幼馴染だもんな)
しばらくルイは涙をこぼしていた。
「私ね。来月から、週一日だけ通えばいいの」
「……」
「だからね。実家に戻ってレオンの働いている姿が見れるなぁーって」
「……」
「もう荷物は送ったし、寮からもでるの」
「……」
「一緒にいたいの」
◆
「パーティーメンバーを紹介するよ。神官服をきているのがジャンヌ」
「よ、よろしくお願いします」
「魔女がソロン」
「よろしくね。知らなかったよ、こんな綺麗な幼馴染がいるなんて」
「ソロンさん、大きいですね。羨ましいです」
「で、彼が新しく入ったディーン」
「はじめまして。ディーンと言います」
「俺の幼馴染のルイ」
「いつもお世話になっております」
「正直、昨日まで女だとは思わなかったよ」
「「「えっ」」」
「十一まで一緒にいたけど、男の恰好だったし、進路も違って会っていなかったし」
「それで、リーダーどうすんの? 故郷に戻るの?」
「俺としては冒険者続けたい。でもルイは故郷に戻るみたいだ」
「あなた、学園に通っているのよね?」
「はい」
「だったら、あたいにいい考えがある」
◆
「なるほどね。宿屋じゃなくて、家を月借りするのね」
「そう、パーティーハウス買っちゃうと、そこがベースになるでしょ。だから、変化があったら動けるように、月借りなのよ」
そして俺とルイは故郷に戻り、両親やルイの親父さんに説明して、ルイと冒険者仲間と一緒に住みたいとお願いした。
「じゃあ、結婚前提だな」
「婚約だな」
「結納、どうしましょ」
「大丈夫、気にしなくて、孫の顔もそのうち見れるし」
と、あっさりオーケーがでた。
◆
故郷で挨拶している間にソロン達が物件を探しまわってた。
「お風呂は外せないでしょ」
「うち、一人一人に部屋があるといいと思う」
「ボクは屋根があればいいので、リビングでも問題ないです」
◇
「ここだわね」
「いいと思います」
ソロン達はルイの学校から歩いて三十分、家賃は高めだが、今後メンバーが増えたときも考えて、部屋数も多めの所を選んでくれた。
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