1-10【俺達の】
アキラの焚書と一連の火事とが、真白の中で結びつく。
「先輩……!! これで一連の火事とアキラくんに繋がりが出来ました!!」
「ああ……どうやらそのようだな……」
その時、真白の通知が鳴った。
「はい……こちら辰巳です」
「魔障反応が出た。以前あった魔障反応と波形が酷似している。場所は君たちのすぐ近くだ。座標を送るから現場に向かってくれ」
デバイスの向こうから京極の真剣な声が伝わってくる。
「了解しました。こちらも有力な情報が入りました……!! アキラくんという生徒の人格が突然変容したそうです。その時に友人の雑誌を燃やす事件が起きています!! この付近で起きている一連の火災もアキラくんが関与している可能性があります……!!」
「おいお前ら!! さっきの話、いつの話だ!?」
犬塚が少年たちに声をかける。
「半年くらい前だよ……」
リーダーは怪訝な顔でおずおずと答えた。
それを聞いた真白はデバイスに向かって問いかける。
「室長……!! 前回の魔障反応はいつですか!?」
「直近の反応は四日前だ。最初の反応があったのは六月十八日、今から大体半年くらい前だね」
「焚書事件が起きた日とおおよその日付が一致しています……丸待を暫定的にアキラくんと定め、今から現場に向かいます……!!」
「よし……!! すぐに現場に向かうぞ……!!」
すると現場に向かおうとする犬塚をリーダーが呼び止めた。
「待ってくれよ犬塚さん……!!」
「なんだよ!? 悪いが今はてめえらに構ってる……」
振り返った犬塚は少年たちの目を見て残りの言葉を飲み込む。
「今から……アキラ殺すのかよ……? あいつ……おかしくなったしムカつくけど……俺達の……」
……友達……
続きの言葉を言い出せないでいるリーダーを見て、犬塚はポケットに片手を突っ込み頭をかきむしりながらため息をついた。
「心配すんな……俺達の標的は虐待児童じゃねえ。俺達の仕事は虐待されてるガキを守ることだ。ダチなんだろ? アキラが戻ったらまた仲良くしてやれよ。それまで大人しく待ってろ……」
そう言って犬塚は少し先で待つ真白の方へと駆けていった。
「先輩……無責任ですよ。アキラくんが対象になる可能性だってあるんです……」
走りながら真白が冷静な声で言う。
「ああ……わかってる……」
犬塚は静かに答えた。
真白は隣を走る犬塚の方に目をやるとため息をついてから再び口を開いた。
「でも、”俺達の仕事はガキを守ることだ”っていうのは悪くなかったですよ……!!」
「うるせえよ……」
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