第5話 ひかる神さま

 目を開いても暗闇のままだった。わたしの部屋はこんなに暗かっただろうか。やるせなさが身体の裏側にくまなく貼りついてしまったようだ。外からは拭えない。耐えかねて、起きて灯りを点けようと思った瞬間。


 ぽわ、と枕元がわずかに光った。


 神さま。


 久しぶりだが、相変わらず神さまは所在なさげに両手を握りしめて立っている。


 どうしていたんですか。

 これまでの来訪者は、あなたのせいなのですか。

 あなたは、いったいなんなのですか。なぜ皆ここに来るのです。


 聞きたいことは山ほどあった。

 

 けれど、声を出せば神さまをまたいつかのように驚かせてしまうだろう。衝動を押さえるために、鼻から大きく息を吸い込んで吐き出し、呼吸を整える。


 ゆっくりと布団の中に迎え入れ、わたしは震える神さまをそっと抱きしめた。

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ひかる神さま 二古林みごろう @migoro356

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