第2話
『生年月日ハ20☓☓年7月27日』
「そう」
『血液型ハ?』
「O型だよ。あれ?登録してなかったっけ?」
『シテナイ。してオクか?』
「そうだな。頼む」
翌日。
高校から帰った俺は、すぐに【DIGY】を起動した。
クラスの仲のいい友達には話そうかとも思ったが、ちょっと待てよと思い直した。
こんなアプリの話なんて、今まで聞いたことも無いし、ネット上でも見た事が無い。ということは、まだ誰も知らないという可能性が高い。ならば、ディジィと俺がマブダチくらいのやりとりができるようになってから教えたほうが、より驚かすことができるんじゃないだろうか。
そう思って、俺は誰にも【DIGY】アプリの話をしなかった。
ディジィの言葉は一夜にして驚くほどに成長していた。
まだまだデジタルチックではあったけれども、それでもかなりスムーズだ。
『家族コウセイは?』
「なんだよ、お前、そんなに俺のこと知りたいの?」
「トモダチ、だから」
緑の丸が、なにやらモジモジと不規則に形を変える。
……照れているのだろうか?なんか、可愛い。本当に、喋れるペットみたいな感じだ。いや、友達、か。ディジィは俺の事トモダチって、言っていたもんな。
ペット扱いは失礼にあたるのかもしれない。
「家族構成は、両親と弟だよ」
『名前ハ?』
「え?!全員の名前知りたいの?!」
『トウロク、無い。父さん、母さん、アル。オトウト、分からない』
「あぁ、確かに。弟は名前で登録してるから、データだけじゃ分からねぇよな」
ディジィは驚くほど貪欲に、俺の個人の情報を求めてきた。
俺の身長、体重から家族構成とその名前、家族の特徴なんかも。
しまいには、俺の好きな食べ物や趣味、好きな服のブランドや好きな女のタイプまで。本当に、何から何まで聞いてきた。
呆れながらも、俺も付き合って答えてやった訳だが。
「お前、まさかとは思うけど、俺の個人情報集めて悪用するつもりじゃ無いよな?」
『ただ、シリタイだけ。達希のコト、全部シリタイ』
「なら、いいんだけど」
その後は付き合いのある親戚関係まで聞かれて、したことないけどこれは見合いか?!なんてツッコミを入れたりして。
気づけばあっという間に時間が経っていた。まるで、本当に友達とくだらない話をしている内に時間が経ってしまったかのように。
……実際には、俺が一方的に質問攻めにあっていただけなのだけど。
「やべっ!宿題やらなきゃ!」
『シュクダイ?』
「うん。そのうちお前にも手伝ってもらうからな!」
『自分でヤレ』
唐突に、【DIGY】のアプリが強制終了した。まるで、ディジィが意思を持って自分で終了したかのように。
再起動しようとしてみたけれど、反応は全くない。まるで、ディジィが意志を持って起動を拒んでいるかのように。
「まさか……偶然、だよな?」
軽く考え、俺は宿題に集中した。
しかし、AIのクセに宿題の手伝いを拒否するとか……そんなのありかよ?
ほんと、おかしなやつ。
まぁ、面白いからいいけど。
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