第7話国王視点5
この場は姉上の独断場だった。
「フランソワーズが亡くなった以上は、モンティーヌ公爵家が王太子の後ろ盾になることは無い。これからは王妃の実家とそこにいる男爵家の娘に支えて貰えばいい。私達、公爵家の者は全員、領地に帰らせてもらう!これは決定事項です!!」
そう断言し、女王のように去って行く姉上をただ見送る事しかできなかった。
伯母の言葉に反論する事も出来ず、殺さんばかりに睨みつけられクロードは怯えるばかりだ。姉上が去ったと同時にその場で座り込んでしまった。
クロードが惚れ込んだ男爵家の庶子は姉上に眼光によって失神している。
姉上があの調子ならここは王命を出さなければならない。
娘が死んだ今、もう王家を支えない。
だが娘を蔑ろにした王太子をこのままにしておくことはできない。
王妃の実家は没落するだろうから王太子を支えるのは男爵家の庶子だ。だが、男爵家には跡取り息子がいる。それでも男爵家は資産家だから王太子の面倒は見れるだろうから王太子と男爵令嬢を結婚させて男爵領に押し込めとけ。自分達公爵家は二度と王都には来ないが、落とし前はつけろ――――というのが先ほどのセリフの含みだろう。うん。間違いない。
対応を間違えるととんでもない事になる。
暫く、クロードと男爵家の庶子を貴族牢に入れておいた。
その間に厄介事を片付けるとしよう。
三ヶ月後、王宮に戻ったクロードは、自分の生まれ育った場所が寂れていることに驚きを隠せなかったようだ。
使用人の数が激減。
それによって王宮の汚れが目立つようになった。王宮で働いている侍女や侍従達が言うには、今まではモンティーヌ公爵家から派遣された使用人が王宮内の清掃などを行っていた事を知りクロードは更に驚いていたそうだ。
そして、久しぶりに会った王妃が老け込んでいて驚愕していた。
年齢を感じさせない美しさを誇っていた母親が窶れ、陰鬱な顔で沈み込んでいる姿は歳以上に老けて見えたせいだろう。
朗らかに笑っていた母親の陰鬱とした姿に、クロードは漸く自分の仕出かした事を理解したようだった。
遅すぎる。
もっと早く気付いてくれたなら。
せめて、フランソワーズが生きていてくれたなら――――
ははっ。
こんな事を考えているから公爵達に見限られたのかもしれん。
私も息子をとやかく言えない。
きっとアレは私に似たのだろう。
一週間後、私はクロードの廃嫡と結婚を発表した。
結婚相手は勿論、例の男爵令嬢だ。
何があろうとも離婚は許さないという条件と共に――
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