第2話公爵令嬢の死2
学園祭の当日、王太子殿下が男爵令嬢と浮気をした事と婚約者の公爵令嬢、つまり私を糾弾し婚約破棄を宣言したのです。
学園祭には一般市民が客としてきます。
その最中で行われた宣言。
何も知らない一般市民は「悪役のような公爵令嬢を成敗するんだ」「愛し合う二人が結ばれるのは当然だ」と拍手喝采でした。
その光景を冷ややかに見ている高位貴族の存在をスルーして。いいえ、彼らの事です。少数の貴族の存在など始めから見えていないのでしょう。
まことに残念でなりません。
その時刻、私は長い眠りについたのですから。
華やかな舞台と化した学園祭。
その間、私は家族に看取られていました。
もっと言うのならば、学園入学して一ヶ月後には病を理由に休学しております。
療養先は公爵領。
男爵令嬢が虐めを受けていた期間、私は王都から遠く離れたモンティーヌ公爵領にいたというのに。それも床につき寝室から出る事が叶わない身になっていましたのに。まったく。一体全体どうすれば「私が虐めた」という事になるのでしょう。不思議ですわ。
私を「悪役令嬢」と呼び、中傷していた学園の方々、並びに王都の人々。
半年の闘病生活で一度も見舞いにこず手紙一つなかった婚約者。
彼らは真実を知ってどのような顔をなさるのでしょう。それが見れない事が心残りでなりません。
さようなら。
愚かな皆様の幸せをお祈り申し上げております。
フランソワーズ・ド・モンティーヌ――――
追伸、私の大切なお友達の皆さま。
愚かな婚約者達を捨てる気はございませんか?
美しく賢いあなた方にあのような浮気者で怠惰な殿方は相応しくないと思われるのです。
そうでございましょう?彼らは浮気して冤罪で婚約者を貶める王太子殿下の味方なのです。皆さまが私のような被害に遭わないとも限りません。それに、男爵令嬢の言葉に惑わされて皆さまの話を聞こうとなさらない。そのような殿方はこちらから捨ててしまった方が傷は浅く済みます。家同士の繋がりを憂慮していらっしゃるのなら大丈夫でございます。我が公爵家が後ろ盾になって差し上げます。いくら王家でも公爵家を無視することはできません。
どうか、後悔しないように行動してくださいませ。
こうして、私は公爵令嬢として十六歳という短い生涯を終えたのでした。
ただ、私が死んだことによって予定が狂った方がいました。
その方の思惑はまったく違う形になり、それは嵐のように周囲を巻き込んでいったのですが、既にこの世にいない私には関係ない話でした。
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