運命のふたり~夏の月に見守られて~

夢月みつき

「花ねこちゃんと四季ねこくん。2匹の猫妖精」

「運命のふたり~月に見守られて~」登場人物紹介


1.花ねこちゃん

猫妖精族の女の子。

花と空豆と四季ねこくんが好き。


2.四季ねこくん

猫妖精族の男の子。

物書きをしている。書くことと読むこと。

そして、花ねこちゃんが好き。

🌛・・・・・・・・・・・・・・・・・・・🌛



おれが遠い星となっても、また、来世できみと出逢いたい。

ええ、きっと、きっとよ。私も必ず、生まれ変わって貴方と……。




こちらは、猫の妖精達が住む村。人の世界ではない、別の世界に存在している。

この村には、花ねこと四季ねこと言う仲良しの二匹の猫妖精がいた。


夏の季節、夜に花ねこは、涼むために散歩をしながら、青い多年草の花畑に花を摘みに来た。

桃色の毛の色、青い瞳。短い可愛いしっぽ。頭には、桜草の花が付いていて夜風に揺れている。


「ふう、このくらいでいいかにゃ?もう少し、涼んでから帰ろっと!」

花ねこは、バスケットに花を入れて草の上に腰を下ろした。

すると、その時。後ろの方で草を踏む音が聴こえた。


「花ねこちゃん?」



☆★☆


花ねこが、その声に反応して後ろを振り向くと、ヒマワリ色の毛色に緑色の瞳。長いしっぽ、頭にひまわりの花が付いた猫妖精が立っていた。


「あっ、四季ねこくん!四季ねこくんも、涼みに来たのかにゃん?」

花ねこがにこりと微笑んで聞くと、四季ねこも、微笑んで花ねこの隣に腰かけた。


「今日も暑かったにゃ。四季ねこくんは、今日は何してたの?」

「ぼくは、暑いから部屋でずっと、書き物をしてたにゃ。花ねこちゃんは?」

「あたしは、プールから帰って来てお昼寝してから、そら豆の下準備してたにゃん。」


花ねこは、冷蔵庫にそら豆の塩ゆでが入っていると、話した。

「そら豆、おいしそうだにゃ。ちょっとちょうだい!」と

四季ねこが目を輝かせて、言うと。彼女は、両手を口に添えてふふっと笑う。

「いいにゃんよ~。たくさん、ゆでたから。明日、お家に持ってくにゃ」


雲の間から、満月が顔を出し、花畑とふたりを照らした。

ふたりは、思わず、夜空の月を見る。


しばらく、月を無言で見つめるふたり。

その時、花ねこがおもむろに口を開いた。

「ねえ、四季ねこくん……。あたし、思い出しちゃったんだけど」


四季ねこは、花ねこを見つめてつぶやく。

「ぼくも、思い出したよ。」


ふたりは、驚いて顔を見合した。

「「四季ねこくんも(花ねこちゃんも)」」

ふたりの声がはもる。


その瞬間、花ねこは人間の女性の姿に。四季ねこは、男性の姿に変わっていた。


「――久しぶりだね。美絵みえ。」

みつるさんっ!」


なぜ、人の姿に変わったかは、分からなかったが。

ふたりは、恋人同士だった頃の記憶を取り戻し、抱きしめ合った。

月の光の中で、ふたりの唇が重なる。光は、柔らかな笑みを浮かべると美絵の頭を撫で、感激して、気もちがたかぶったふたりはそのまま、優しく愛撫あいぶし合った。



それから、ふたりは満月の夜にだけ。人の姿に戻ることが、出来るようになったと言う。

運命のふたり。今世こんせいでも、来世らいせでもずっと、ずっと。



――美絵。生まれ変わっても何度でも、きみを愛そう――




-了-


🌛・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・🌛

最後までお読みいただきありがとうございます。

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