第20話 番外編 アマーリエの恋 女騎士
王宮での生活に少し慣れてきた。
国王陛下と王妃様は自重してくれているようでぐいぐいくることはない。
もうすぐ学園もはじまる。ロルフはもう卒業しているが、学園で週に何度か講義をしているそうで私もそれを受ける。
私はフリューゲル王国に来てからも自国にいた時と同じように朝、ロルフや護衛騎士のヴィムと一緒に鍛錬をしている。自国にいる時から、たとえ護衛のいる王女だとしても自分の身くらい自分で守れるように体術と剣術、基礎体力作りは欠かさずしていた。
フリューゲル王国では魔法騎士と言って剣に魔法を乗せて戦う騎士がいる。
魔法を利用するので力がそこまで強くない女性でも十分戦えるそうだ。
私も女魔法騎士達と一緒に鍛錬できたらいいな。
「ねぇ、ロルフ。私、女性の魔法騎士の方と一緒に鍛錬したいわ。ダメかしら。ロルフと一緒もうれしいのだけど、せっかくなので女性の魔法騎士と一緒に鍛錬して、私も魔法騎士のレベルまで行きたいの」
「魔法騎士のレベル? 本当にアマーリエは意識が高いな。わかった。段取りするよ」
「ありがとう。騎士の方はご迷惑かしら?」
「大丈夫だよ。アマーリエならみんな歓迎さ」
リップサービスね。でも魔法騎士と一緒に鍛錬できるなんてラッキーだわ。
うまくいけばベルメールに戻ってから女性だけの魔法騎士団を作ることができる。鍛錬のやり方をや魔法をしっかり学ばねば。
「アマーリエ様、今日からよろしくお願いします。私は魔法騎士団第3部隊隊長のアーニー・ゾイゼと申します。今日は私とふたりで鍛錬し、アマーリエ様の状態を見ます。それからアマーリエ様のお力に合わせた団員達と混ざって鍛錬ということになります」
「アマーリエ、ベルメールです。よろしくお願いします」
ゾイゼ卿は長い髪をポニーテールにしたキリッとしてカッコいい女性だ。騎士服がよく似合っている。
我が国にも女性の騎士ほしいな。やはり男ばかりだとデリケートな部分で躊躇することもある。女性の騎士なら部屋の中にいても安心だし、男性が苦手な人を守るには最適だ。
我が国ではまだ女性の騎士は認められていない。帰ったら女性が騎士になれるように国王に言ってみよう。
ゾイゼ卿のいう通り動いてみる。いつもより楽だなぁ。こんな鍛錬で大丈夫なのか?
「ゾイゼ卿、今日は初日なので軽めですか? 私は自国でも鍛錬をしていたのでもう少しキツくても大丈夫ですよ」
気を遣ってくれたのかな。こんなに緩いと頼りない。
ゾイゼ卿は目を丸くして固まっている。
「アマーリエ様、本当ですか?」
「ええ」
「私達はこれで7分くらいの鍛錬です。アマーリエ様の方が私達より鍛えていますね。まさかお国では男性相手に鍛錬されていたとか?」
「ええ、護衛騎士達と一緒に鍛錬していましたわ」
「どおりで。私も辺境伯の娘なので、幼い頃から父に鍛えられました。王都に出て魔法騎士団に入隊したのですが、魔法を使うことが多く、実際の隊員も魔法なしではそれほど強くないので物足りなかったのです。アマーリエ様がよろしければゾイゼ辺境伯家流の鍛錬をしませんか?」
辺境伯家と言えば我が国でも魔獣を倒せるくらい力がある。
魔法大国の辺境伯家なら我が国よりも強いはずだ。
ゾイゼ卿は楽しそうだ。魔法を使わない女魔法騎士は相手にとって不足だったらしい。
それはそうだろう。小さい頃から辺境伯閣下に鍛えられているとしたら、魔法を使わない魔法騎士なんて、相手にならないだろう。
それにしても魔法騎士は素晴らしい。それ程腕力も体力もない女性でも魔法を使えば強くなる。これは絶対自国に戻ってから女性達に広めなければ。
これを身につければか弱い女性でも男性を跳ね除けることができる。泣き寝入りなどしなくていいのだ。
身体増強魔法は絶対覚えて帰り、女性達に広める。私の目標はどんどん増える。
次の日から私とゾイゼ卿は鍛錬を楽しみながら魔法騎士団の身体増強魔法の練習も開始した。
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