ほんの『一部』の日常である。_昼、前
前半です。後半は翌日に公開します。
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「それでな…最近、孫が……」
「ああ……なんか、わかる〜」
とテーブル席で笑いながら頷く蓮佳とカフェラテを頼んだおばあさんを見つめ佐藤は頼んだオムライスを食べていた。
「ところで、佐藤」
「はい、なんふぇすか?」
「なんで、驚かなかったんだよ。俺が全世界事変の捜査をやっていたと言うことをな」
「実はこの前、同僚から聞きました」
「うっそーん……」
謎に悲しげな表情をした海城は頼んだカレーライスを食べた。これ、なんだかんだでこのオムライス少し懐かしい味がするな…と佐藤は思った。すると
「どうだ。お味は、なかなかいいでしょ」
と話し終えた蓮佳がやってきた。
「はい。とても美味しかったです。ありがとうございました。すいません。こんな美味しいのを頂いてしまって…」
「いいって、いいって、お代はこのおっちゃんに払わせるから」
「おいおい、そりゃ、ないだろ」
「いいえ、注文した限り、絶対に払わせるからには請求しますから」
「ちぇ」
「おめぇはガキじゃねぇだろ」
「あはは……」
「はぁ……ごちそーさん」
と海城が立ち上がるとついの癖だろうか佐藤も立ち上がった。そして、レジ前に行くと蓮佳が追いかけるかのようにレジに行った。
「はい。お会計、1600円です」
「え……意外と安い……」
「あれ、もしかしてメニュー見てなかったんの?」
きょとん顔をした蓮佳が棚から緑色のメニュー表をだす。するとコーヒーには300円、オムライス、カレーライス500円と書かれてある。
「安かったでしょ。うちはそういう場なんで、近年の値上げとか気にせずにしてるもんでね」
そうなんだ……、佐藤はある意味凄いと思った。
「という訳だ。さっさと払えや、おやっさん。こっちには家賃と支払う金があるのでな」
「うっせ。んなもん聞いても。分かるわボケ。たっくよー……ん?」
財布を出す寸前に海城が着てるコートのポケットからブー、ブーと携帯が鳴り出す。
「すまん、電話だ」
「おう」
と海城はカチャッと携帯を取り出して、通話を始めた。
「ああ、俺だ……」
「すいません。僕が払っときます」
「お、おう」
「はぁ!?何だと!?」
海城の突然の大声で佐藤と蓮佳は驚いた。向こうで何かが起きたに違いない。
「分かった、今向かう!すまん!矢凪、あとで……」
蓮佳と佐藤が払っているところを振り向いた途端と海城の勢いのある声が静かになった。
「……なにしてんの?」
「いや……あんたの代わりに佐藤君が払ってくれてるよ」
「す、すいません……先輩……」
「あ、いや……その……悪い……じゃねぇ!佐藤!とにかく今すぐに行くぞ!」
「は、はい!」
「おつりの400円」
「すいません!急いでいて……」
「いいよ。また今度ね」
と蓮佳が手を振った。その手を振り向いては手を振って佐藤と海城は急いで現場に向かった。
「……」
それを見送った蓮佳はただ腕を組んで考えた。まるで来るか……のような顔をしているかのように。すると
ジリリリ……ジリリリ……
キッチンの方から黒電話が鳴り出す。
「すんません。ちょっと…」
とご飯を済ませ会計に入る老人カップルに謝り、蓮佳は受話器を取った。
「はい」
「応戦だ。場所は」
「うちんとこだろ?分かってる」
「だったらなんで行かない……」
「そうしないと我慢できないのはお前だろ?」
「………とにかく、応戦に向かえ」
「あいよ」
そうして通話が終わった受話器を元に戻し老人カップルの会計をした後に残ったのは蓮佳とカフェラテを頼んだおばあさん 本郷町の全開駄菓子屋おばあさんこと五色田さんだけだった。蓮佳はその五色田さんに近づいた。
「わりぃ、五色田ばあちゃん。もうこれで閉店なんだ。すまねぇけど帰ってくれるかい?」
「そうなのかい。だったら私が店番しようか?そしたら、行けるでしょ?」
「うん。私の話聞いてた?」
「ここですね」
「そのようだな」
「まさかまだいたなんて……」
と電柱の影に隠れた海城と佐藤。その目の前には横に並ぶ数台のパトカーとあの時出会った化け物である。全体の色は青、目が三つに人間の手足…と佐藤が出会った化け物と同じである。その化け物の近くには倒れている警官がいた。
「あれは……!」
「ああ……やられてるな」
と海城は確信なことを言った。そして二人は近くに止めてあるパトカーの横にいた人に聞いた。それに気づいた人 新命が海城と佐藤のを開かせた。
「新命、状況は?」
「見た通り、すでに一般人含め数人が
「数人が……」
と佐藤が悲しみ俯いた。それに対し海城はしばらく化け物を見つめてたら違和感のある発言をした。
「かなり怒り狂ってるな」
「え?」
「そのようだな」
「え?」
「よく見ろ」
海城が指した先を見ると、化け物の後ろにかなり折れまくっている人がいた。
「あれは……」
「多分ストレス発散をしているみたいだな」
「まさか……」
「そのまさかじゃね?」
すると
『そこの怪人!!!』
と大きな声が聞こえた。聞こえた方に見ると立ち上がった警官がメガホンを取ってた。警官は勢いを張り付け
『これ以上の殺害はやめろ!さもなくば…』「ゔゔ!!」
と化け物はメガホンを取ってた警官に手を振りまいた。警官は「ひぃ!」と言って、メガホンをスポーンと放ってしまって、ギリギリのところで化け物の手を触れることはなかった。警官はここにいた他の人に
「怖かった、ガチで怖かった……」
と涙目で言った。それほど結構な勇気があったのだろう。そして、化け物が警官からメガホンを乗っ取ってすぐに自分の方に向けては怒り狂った声でこう叫んだ。
「おい!警官ども!俺の仲間はどこにやった!!」
「!」
「かなり怒っているな」
そう、この化け物はあの時の化け物の仲間である。もしかしたら……と思っていた海城の刑事の勘が当たったのだった。
「昨日、俺の仲間の連絡がねぇんだ!おめぇら、分かるんだろ!俺の見た目を見てよぉ!」
「っ!気づいてますよ」
「案外、ここの知識あるんだな」
そう、海城、佐藤もここに居るみんなもあの化け物は分かるのだった。化け物を殺した情報は本郷町どころか全国に知れ渡る。もちろん、それは警官の基本情報としても知れるのだった。
「おい、そこにいるお前!」
「ひっ!」
化け物はすぐ横にいた警官に声をかけた。そして手を近づけると
「仲間はどこにやった?」
「え…」
後退する警官の背中にギリギリの当たらないラインでとんがった手を刺さる。
「聞いてんだよ。この見た目見てるだろ?お前の目で。なぁ?」
「し、し……知らない……知るわけがない」
とゆっくり首を横に振った。化け物は「ちっ」と舌打ちをしたら途端に
「あ”…」
と刺しといた手を警官の背中について、警官を宙に舞う。すると
「あ”…あ”……だずげで……」
とだんだん干からびるようになった。最後は勢いよく投げ飛ばされ、もう人間の形ではない顔が潰されたのだった。それを見た佐藤は息を飲んだ。その潰された警官は目が青いからだ。昨日、死んだ白衣の人達みたいに
「せ……先輩……」
「黙ってろ」
「あ”ー、もう……!」
化け物は何故か俯いた。すると真ん中の目が取り出して海城達の方見た。すると突然に
「お前、見たろ」
「え……」
と化け物は佐藤を見つめた。
「お前に覚えがある。お前、俺と同じで見た目の奴を見ているな」
「な、なんで……」
ハッとし佐藤は口を塞ぐ。すると化け物は
「ハッハッハッハッハッハッ…命中だ……」と嘲笑うように笑った。そして、見下すように佐藤達を見ると
「俺たちはな、死んだ奴の記録が見られるんだよ。つまり〜、運命共同体って奴?」
「……」
「あれ?もしかして知ってて固まった〜。まぁ、そうだよね。カミングアウトみたいなことをしてるような存在だよね〜」
ふふふ……と嘲笑う化け物。佐藤はどうしようどうしようと困惑をしだした。このまま、俺どころかみんなを道連れだ。と思っていたら
「へぇ……そいつは悲しいこったな……」
突然の普通の言い方に話してきたので佐藤が海城を向いた。海城は一本の煙草に火をつけると
「はぁ…?なんだよクソじじい」
「俺は悲しいと言ったぞ?だって死者の記憶を見れるなんて。ただのビデオだろ?笑わせるんのも程がある」
「ふざけんな!」
と化け物、持っていないもう片手で海城の胸ぐらを掴む。そして上に浮かせた。目を持ってる手は目を戻し、手を注射の針に変わった。
「死者を愚弄した上に煽ってるなんていい度胸じゃないの?」
「それはそっちのセリフだろう。死者ぐらい大事に扱えって」
「ぐっ……!てめぇ!!」
化け物の注射の針が海城の方に勢いよく向かってくる。
先輩!と言ってる佐藤を放置して化け物は舐めたかのような顔をして海城を殺そうとしている。すると海城は小さな声でこう言った。
「……時間は作ったぜ。派手にやれ」
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