終わり
ヴァルシュヴァル卿は、クランの胸部にサーベルをつきたてていた。
「クククク」
と笑いながら。アイリーンがそれをみて、呆然としている。そのアイリ―ンをみて、ヴァルシュヴァル卿はさらに笑った。
「ほうら、決闘の結果だよ」
「うわあああああ!!」
アイリーンは壊れたムチをふるいながら、ヴァルシュヴァル卿に襲い掛かる、しかし、ヴァルシュヴァル卿はそれをひょい、ひょいと簡単によけたあと、一発手の甲側でビンタをあびせた。
「思い出せ“ヴァルシュヴァル卿”お前は私と脳の一部をいれかえ、一緒になったとき、決めたじゃないか、お互いの狂気を受け入れると、私は、ヴァルシュヴァル卿となり、復讐を決めたのだ、そして、君が恨むべきは、彼女だよ、シスター・マルグリッド」
キッ、とマルグリッドをにらむアイリーン。そこでヴァルシュヴァル卿は、再び狂気の言葉をはなった。
「さて、このサーベルで殺し合いをし生き残った人間の逃亡を許そう、アイリーンも加わるかね?その場合、私もアイリーンを守るために加勢するがな」
「!?」
動揺するマルグリッド。
「私にプラグと戦えというの?」
「ああ、そうだ」
プラグはごくり、と息をのんだ。マルグリッドは、少し考えた後、プラグに目で合図をおくり、頷いた。
「わかったわ……」
プラグは、悟った。先ほど拠点にて、合図を決めておいたのだ。マルグリッドの、青の夜鳥が、“巨大なオートマタ”の腕、それを出した時、マルグリッドの言う通りに魔力を注入しろ、というのだ。それは、本来青“アシュヴァ”の魔力で動くオートマタの腕らしく、プラグの力を使えばより強い威力を発揮するだろうというらしい。その力は空気を圧縮した刃を放つ魔法。いわば、その腕自体が魔法陣のようなもの。プラグはその瞬間をまった。マルグリッドは約束してくれた。
“絶対に、未来を共に生きよう”
と。
三人はにらみ合った。結局アイリーンは参加することになった。マルグリッドと、プラグも横並びに、三角形をつくり地面につきさされたサーベルを見ていた。プラグは、傍らに倒れるクランをみた。別れ際、プラグはクランにプレゼントを贈った。それはルケだった。ルケとマルグリッドは何やら、拠点で会話をしていたが、プラグは、横たわるクランをみても何も思わなかった。何があろうとマルグリッドを信じぬこうと考えていたからだ。きっと、これが一番いい方法なのだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます