二人の秘密。

 腹部をかばうマルグリッド、結構な出血があり、プラグは急かした。

「おなかをだして、僕の服を破いて早く止血しよう!!」

 プラグは迅速に行った。マルグリッドに教わったのだ。ハンカチで患部を圧迫し、服をやぶいてできた布きれを腹部にまきつけた。

「これでいい……」

「ありがとう……」

「……」

 奇妙な沈黙が流れた。プラグは、初めて出会ったときの事を思い出していた。

「どうしてなんだ……」

 プラグは聞きたいことがたくさんあった。

「どうして、あんたが、あんたが……自分の復讐心を抑えればいい事があるっておしえて、あんたのその言葉で復讐を抑えてきたのに……あんたは誰かに復讐し続けてきたのか?」

「……プラグ……違うの、私はね、親友のために……」

「復讐が?」

「……ヴァルシュバル卿に生かされているの、私も親友も……ヴァルシュヴァル卿が、かつて青―アルシュヴァルド人―にひどい目にあわされていたことをしっているでしょう……家族を……彼は復讐をし続けている、同じ方法で」

「それって……人体実験?」

「ええ、魔法を使った人体実験……私は……私と親友は……ヴァルシュヴァル卿の実の娘“ルエリ”の影武者だった……彼の隠し子であるというそういう噂をながし、私たちはヴァルシュバル卿に守られているのだとずっと思っていた、けれど、違ったの……親友“アルサ”が死の間際に教えてくれた、ヴァルシュヴァル卿は、使える資源をとことん使うのだと……みて、プラグ」

 ふと、腹部をみせるマルグリッド。プラグは、腹、幹部の皿にしたに目を向けると、彼女の腹には奇妙な機械的な……歯車や装置がむき出しになっていた。

「これは……どういう事?」

「私は、子供が産めない……取り出そうとしてこうなったけれど、取り出したところで“機能”は復活しないとわかって、私は取り出すのをやめた、以来私は絶望しつづけているヴァルシュバル卿は、私からは、子供を産む能力を……親友からは命と魂を奪った……」

「で、でもなんで……そんな事」

「ヴァルシュヴァル卿は、人を許せなかった、アルシュヴェルド人を許せなかった」

「でも、あなたは」

「ええ、でも……その末裔よ少しなら“アシュヴァ”の力も使えるの」

「わからない……」

 頭を抱え込むプラグ

「わからない……だから、僕を守ったふりをしたのか、ただそれだけの理由で」

「プラグ?」

「自分の境遇と僕の見た目が似ていた、ただそれだけの理由で!!」

「!!!」

 その瞬間、プラグの後方の壁が、何か巨大な槌にうちぬかれたように砕け散って、破片がとびちったのだった。

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